がん検診の新しいかたちMR-PET 検診

がんの早期発見には複数の検査を組み合わせた、より質の高いがん検診が求められています。がんを患う方が年々増え続け、今や日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなると言われています*。がんを克服する一番の対策は早期発見、早期治療です。現在では、検査方法や検査装置の進化とともに初期の小さながんでも発見することが可能になりました。
一方で、検査装置にはいろいろな種類があり病巣の位置やがんの種類によって得意、不得意が存在します。そこで求められているのは複数の検査を組み合わせた「質の高い検診」。がんの早期発見に、今、最も有効な方法です。
* 厚生労働省「平成25年度 がん検診受診率50%に向けた集中キャンペーン」サイトより

Biograph_mMR

MRIとPETの検査が同時に行える、MR-PET
世界でもまだ限られた施設にしか導入されていない、最先端の検査装置がMR-PET です。
MRIとPETそれぞれの装置の優れた特長を組み合わせて1回の検査で、より高い精度のがん検診が行えます。がんの早期発見に大きな力を発揮します。

MRIとPET

MRI 検査とは

わずか数ミリの病変部でも詳細な画像で映し出す
MRI検査とは筒状の検査装置に入り、強力な磁石と電磁波を利用し、身体から放出されるわずかな信号をとらえます。体内の臓器や病変部を詳細な画像として見ることができます。

  • 小さな病変部を見分ける能力が優れています
    MRI装置はコントラストに優れた画像が特徴で、脳血管や脊椎、心臓など幅広い画像診断で用いられます。数ミリのがんまで見分けられると言われ、近年では乳がんや前立腺がんの検査にも役立っています。
  • 被ばくのない検査が行えます
    放射線を使用しないため、安心して検査を受けていただくことができます。
PET 臨床画像
肺がんから頭蓋骨に骨転移した例

がん細胞がどれくらい活動しているかを画像化する
PET検査とはブドウ糖を多く吸収するがん細胞の特性を活かし、FDGというブドウ糖に似た薬剤を体内に取り込んでその集まり具合を調べ、体内のどの部分にどの程度のがんがあるかを調べる検査です。

  • 小さな初期段階のがんでも画像にすることができます
    PET装置は、かたちではなく活動レベルで病巣を画像化します。そのため、まだ成長が初期段階の比較的小さながんの発見が期待できます。 
  • 1度の検査で全身を調べられます
    一気に全身を撮影し、がんの転移の有無まで調べることができます。また、寝ているだけの検査で身体的な負担が少ないのも特長です。

 

MR-PET検査のメリット

種類の検査を1度に―― 短時間に高精度の検査を行うMR-PET検査
MRI検査でわかる病巣の「かたち」や「大きさ」とPET 検査でわかる「がん細胞の活動状態」の両方が分かればがんの早期発見、早期治療につながります。一方、2つの検査を行うにはそれぞれの検査予約や準備が必要になり、場合によっては複数回通院しなければなりませんでした。MR-PET装置は、MRIとPETを同時に撮影することができる新しい装置です。1回の検査でMRIとPET、2つの検査情報を同時に取得し「かたち」と「機能」の2種類の画像が重ねて表示(フュージョン画像)されます。

  • 短時間での検査
    PETとMRIの撮影を同時に行なうため検査は1日で終えることができます。短時間により多くの有益な情報を得られます。
  • 少ない被ばくで
    広範囲の検査が行えます被ばくが少ないので、がんの広がりを調べるなど全身に及ぶ広範囲の検査でも、安心して検査を受けていただくことができます。
  • 乳がんや前立腺がんに有用
    乳がんはFDGが集積しにくいタイプが多いので通常のPET検査では不十分でしたが、MRI検査を同時に行うことで小さながんを発見できる可能性が高まります。また前立腺の検査が苦手* なPETをMRI画像で補完することで、より詳細な検査が行えます。

*泌尿器系のがんはFDGが尿として排出されてしまうため、PET検査だけでは発見率が低くなります。

 

検診の流れ

検診の流れ

検査前日・当日は運動を控え、検査前6時間は絶食します。水は飲んでも構いません。
医師による問診のあと、PET薬剤(FDG)を静脈へ注射して薬剤が体内に行き渡るまで約1時間安静にします。

検診の流れ

時計や眼鏡、携帯電話などの金属は全て外して寝台の上に横になります。MRIの信号を取得するためにコイルを装着します。
検査中は指示があるまでは体は動かさないようにします。検査後は通常の生活が行えます(検査後24時間は微量の放射能が体内に残っているため、授乳は避けてください)。

MR-PET検査を受診するにあたっての注意:MR-PET装置は強力な磁場を用いていますので、体内に取り外しのできない金属類を有している方は検査ができない場合があります。

Q&A

MR-PET 検査クリニカル画像

Q. MR-PET で、どうしてがんが発見できるのですか?
A. MR-PETはMRIとPETの検査を同時に行える装置です。それぞれの検査だけでは見つけづらい病変も、2つの検査を同時に行うことで情報を補い合い、より精度の高い検査が行えるのです。 

Q. MR-PET で、どんながんでも発見できますか?
A. MR-PET検査はがんの早期診断に非常に有効な検査ですが、ごく初期の見つけにくいがんもあります。画像診断以外の血液検査や遺伝子検査などとの併用が必要な場合がありますので、詳しくは担当の医師にご相談ください。

MR-PET 検査イメージ

Q. MR-PETとPET/CTは何が違うのですか?
A. CTがX線を用いるのに対して、MRIは磁石と電磁波を用います。MRIはCTに比べて得られる画像の種類が多く、病気の存在や性質を詳しくみることができるとされています。PETと同時に検査を行うことで、さらに詳しい検査が可能になります。 

Q. 体内に金属がありますが大丈夫ですか?
A. 金属の種類や場所によって検査が可能か判断されますので詳しくは担当の医師にご相談ください。

Q. 検査時間はどのくらいかかりますか?
A. MRIとPETの検査を別々に行うよりも、検査時間は半分程度になります。検査時間は検査の部位や内容によって異なりますので、担当の医師にご相談ください。

MR-PET 検査 放射線被ばく早見表
国立研究開発法人 放射線医学総合研究所「放射線被ばくの早見表」より

Q. MR-PETの検査では被ばくをしますか?
A. MRIは放射線を使わないので、被ばくはありません。PETは検査に用いる薬剤から出る放射線によって、わずかですが被ばくをします。しかし1 回の検査による被ばくは、日常生活をしている人が1 年間に受ける自然放射線の量と同程度で、人体にはほとんど影響がないとされています。 

Q. 妊娠していますが影響ないでしょうか?また不妊になることはないでしょうか?
A. MRIでは強力な磁場を使用しますので、妊娠の時期によっては影響を考慮する必要があります。詳しくは担当の医師にご相談ください。またPETの被ばくの影響はごくわずかですので、不妊への影響はありません。