TAVIのプランニングや冠動脈の病変評価など、循環器領域における多くの臨床的問題には、徹底した準備とモニタリングが必要で、CTがモダリティとして選ばれることが増えつつあります。 放射線科医や放射線技師の時間と労力を削減するための新機能や標準化された画像は大いに役立ちます。 ヨーロッパの2チームの経験を共有します。
経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)は、外科的大動脈弁置換術の代替手段になりました。 手技を成功させるには、複雑な大動脈起始部の正確な3D CT画像が必要です。患者がTAVIの適応条件をみたしているか、どの種類の補綴物を選択するか、どの大きさのデバイスを選択するかは、CT画像から得られるデータに基づいて決定します。 最終的に最適なデバイスとの相互作用により、手技の成功が決まります。 したがって、TAVIのプランニングは非常に重要です。
2008年、トロムソにあるNorthern Norway大学病院で最初のTAVIが外科医により施行されました。 2013年には、放射線科医のSigne Helene Forsdahl氏がTAVIのプランニングのためのCT画像について紹介し、2017年までの1年間でTAVIプランニングのためのCT検査を112例実施し、うち80例でTAVIが適用され、成功しました。 Forsdahl氏が指摘しているように、CT画像をもとにしたTAVIのプランニングは非常に面倒な場合があります。品質を向上させるために、計測と画像再構成は限定したスタッフが行いました。 当然のことながら、個々の患者の解剖学的状況を正しく把握するために、かなりの数の測定と画像が含まれています。
「2か月前まで、これらの手順を手動で行っていました」と、放射線科医のFrode Tynes氏は説明します。 彼らは、鼠径部から骨盤領域まで解剖学的経路に沿って大動脈の直径を約15回測定します。 各工程で、測定値を手動で書き留めると同時に、画像を保存しています。 「検査を開いてからレポートを完成させ、胸部/腹部/骨盤を読み取り、外科医向けに特別に用意したPACS内の「TAVIフォルダ」にすべての画像を「集約」するなど、すべての画像処理にかかる時間は約1– 1.5時間です。」
“syngo.viaのCardiac PlanningとRapid Resultによる半自動化で、はるかに速くなりました。 良好な画質が得られた通常検査では、作業時間を従来の約40〜50%に短縮できます”
クリック数が少なく、画像が読みやすい
「syngo.viaのCardiac PlanningとRapid Resultによる半自動化で、はるかに速くなりました。 良好な画質が得られた通常検査では、作業時間を従来の約40〜50%に短縮できます。 しかし、時間を節約することよりも重要なことは、これまでのように何度もクリックする必要がないということです。 これが本当のメリットです」とTynes氏は述べています。CT画像を用いたTAVIのプランニングにおける各工程は半自動化された方法でSOMATOM CT装置から、標準的なCT画像再構成タスクにより直接実行されるため、もはや面倒なことではありません。 [1] 「新しい方法でTAVIのプランニングを行うというワークフローは、はるかに効率的です」と、前日にTAVIのプランニングを5例について続けて行ったことを思い出して、Tynes氏は言います。 「以前のワークフローではほぼ不可能だったでしょう。」 プロトコルによって提供されるガイダンスを使用することは簡単です。
Forsdahl氏にとって、半自動化はさらに別の利点も、もたらしました。「大動脈弁の半自動化は、特に重度の輪状石灰化があり、コントラストが不十分な症例でその価値を発揮します。はじめは新しいソフトウェアを信頼して弁輪を見つけるのに時間がかかりました。 慣れた従来の方法で数回再確認したところ、新しいソフトウェアが提供する結果は信頼性が高いと確信しています。」 全体として、2つの半自動化は少ない作業で同じ品質の結果が得られ、本当に良いことだと述べています。 TAVIのプランニングに費やす時間とリソースを考慮すると、どちらも大きな前進だと考えています。 トロムソチームのニーズに合わせてプログラムはカスタマイズされているため、外科医が必要とする測定、画像、プレゼンテーションを正確に得ることができます。
非侵襲的CT冠動脈解析におけるRapid Result
ドイツのEssen大学病院 Diagnostic and Interventional Radiology and Neuroradiology研究所では、状況は多少異なります。 そのチームは、27人の放射線科医、26人の医師、60人以上の放射線技師で構成されています。 画像の取得と再構成における標準化、自動化、効率化が重要になります。 研究所の主任放射線技師でありCTチームの責任者であるSebastian Blex氏が指摘しているように、彼らは月に約80回の心臓CT検査を実施し、その多くはTAVIのプランニングのための冠動脈評価が目的です。 「私たちは、心臓CT検査により、患者が侵襲性の高いカテーテル検査を不必要に受けることがないように努めています。」と彼は述べています。 そのためには、冠動脈の末梢にある非常に細かな血管までの正確な画像とデータが必要です。
“堅実で信頼性の高い方法でMPRを自動的に評価することは大きな利点で、臨床的にさらに重要なのはそれらを自動的にPACSへ送信できることです。”
余得:自動Curved MPR(以下CPR)画像作成
「新しいツールRapid Resultsへの関心は、時間のかかるCPR画像作成をパッケージの1部として提供されるという事実によって引き起こされました」と、研究所のThomas Schlosser医師は説明します。 「堅実で信頼性の高い方法で自動的にCPRを評価することは大きな利点で、臨床的にさらに重要なのはそれらを自動的にPACSへ送信できることです。それにより、チームの全員はもちろん、その他の医師もデータへアクセスすることができます。 それらの多くはsyngo.viaを使用しません。そうでなければ、彼らはCT画像を見て評価することができないでしょう。」 さらに、自動視覚化機能により、CT画像の読影訓練を受けていない参照者でも、簡単かつ迅速に大要を把握できます。また、通常の画像データと比べ、病理学的変化の解釈に役立ちます。 「Rapid Resultsを用い、大動脈と流出路に対する水平および直行の2断面を生成するTAVIプランニングでは、医師は補綴物の移植中にプラーク、動脈瘤、または解離といった複雑な問題が予想されるかどうかをより簡単に評価できます。」
“自動再構成は非常に信頼性が高く、手動で修正する必要はほとんどありません。”
大幅な時間の節約
広範な自動再構成機能を使用する際のSchlosser氏の重要なポイントは、時間の大幅な節約です。 「自動再構成は非常に信頼性が高いため、手動で修正する必要はほとんどありません。例外は、非常に細い動脈のような個々の解剖学的特性です。」 これに加え、「自動再構成により放射線技師は1症例につき最大20分短縮できます」とBlex氏は話します。 エッセン大学病院の両専門家は、標準化の利点を強調しています。 放射線科医にとって、CT画像の読影がより簡単かつ迅速になり、レポート作成が容易になりました。 放射線技師にとってのメリットは、自分で画像再構成の処理をする必要がないことです。「狭窄を探すために動脈をたどる際に、結果を再確認するだけです」とBlex氏は説明します。 「さらに、チーム内の各ユーザーの好みが抑えられ再現性が高くなります。」
12年前にLADステントを留置した、CHDおよびHCCの63歳患者。 LTx評価の一環として施行された冠動脈造影CTでは、LAD起始部に重度狭窄が認められた(矢印)。
筆者について
Wiebke Kathmann 生物学の修士号とPhDを取得。 1999年にフリーランスのメディカルライターになり、医療雑誌にも多数寄稿しています。