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検査室の未来を考える検査室の再構築と目指す姿
効率化、信頼性、コストに高い関心
国内で実施したアンケート調査*では、現在の検査室が抱える課題について半数以上の方が「検査業務の効率化」を回答されました。次いで「検査結果の信頼性」「検査収益の増収」でした。少子高齢化や働き方改革関連法の施行など医療環境を取り巻く社会が変化する中、現在の検査室はこれらに対応するため、効率的な業務を行い信頼性のある検査結果を迅速に提供することがいま求められています。
本ページはAtellica Lab Solution Summit 2019で発表された内容に基づきます
いま取り組むべき課題とは?
検査業務の効率化
少子高齢化や働き方改革などの一般的背景に加え、検体数の増加傾向が続き、業務の効率化を喫緊の課題としてとらえられている検査室が多いようです。
<業務の効率化を進められるポイント>
- 始業前:キャリブレーション等
- 分析前:検体受付、検体仕分け
- 分析後:追加検体、再検、開栓
改善例
稲築病院における機器導入前後での臨床検査室の勤務状況
以前は、8 名で臨床検査業務に対応されていましたが、1 名が定年退職、1 名が管理業務に専念するという形で臨床検査業務から退いたため、2 名の減員となりました。
| 導入前 | 導入後 |
検体数(月) | 3,750検体 | 3,813検体 |
スタッフ数 | 8名 | 6名 |
有給取得日数(検査室全体) | 0日 | 6日 |
時間外勤務時間(検査室全体) | 114.6時間 | 50時間 |
「オートQCの活用により始業前作業が40分短縮され、さらに検体自動仕分けにより、外注検査仕分けが20分短縮されました。」「Atellica Solutionのサンプルハンドラーにより、検査室全体の業務が改善され、病棟などの新たな業務にチャレンジしております。」
機器導入により業務の効率化に成功
- オートQCの活用:始業前作業が40分短縮
- 検体自動仕分けの活用:外注検査仕分け20分短縮
- 検査システムからの再検指示:1件当り5分短縮
- Cal+オートQC:1項目Cal 当り10分短縮
検査室全体の業務が改善され、病棟などの新たな業務にチャレンジされています。
検査結果の信頼性
<結果の信頼性に関わるポイント>
- 検体の取り違えなどヒューマンエラーの防止
- 同時再現性、日差再現性の良好な結果
- ロット間再現性、オペレーター間再現性
データの質の確保ですが、同時再現性、日差再現性、従来法との相関性などについて検討を行いました。同時再現性はCV2.8%以下と良好な再現性が得られました。日差再現性は10日間検討した結果、概ねの項目において従来の装置の精度管理幅と同等の結果が得られました。相関性は従来法と同等の良好な結果が得られました。
性能を保持しながら、測定時間短縮に成功
Atellica Solution IM 免疫分析装置は、Centaur XPT シリーズと同等の性能を保持しながら測定時間の短縮化が行われていることが確認されました。実際に使っていても、結果が出るのが早いと感じられ、非特異反応も認められませんでした。心筋マーカーの結果をできる限り早く臨床に報告し、より一層有効活用されることが望まれます。
検査収益の改善
Siemens Healthineersは「検査業務の拡大と増収」と「コスト削減」をご提案しています。検体検査スタッフのタスクシフトにより検査室全体の生産性を向上させ、生理検査や病棟検査などへ業務を拡大することをサポートします。
<コスト削減、業務拡大を考えるポイント>
- 単位時間の検査数向上
- 配置デザインや自動化による検体検査人員削減→超音波や心電図などの生理検査、病棟検査へのタスクシフトを促進
- ランニングコストの削減(消費電力、試薬代、メンテナンス代)
当初、「時間当たりの測定数の向上」や「機器能力と配置デザインによる人員削減が可能になる」ことを説明しても、導入には至りませんでした。しかし、「コスト削減」を挙げると、非常に大きな関心が示され、詳しいデータが求められました。
機器導入により、運用費(試算)を2割以上削減
Atellica SolutionとAptioの導入した場合現在の運用費より2割以上の削減効果が試算から見込め、導入が承認されました。導入後は機器準備業務が30~50分ほど削減され、測定開始時間を早めることができました。人員面でも早出業務が削減され、病棟採血の運用を実現されました。
アンケート調査でも効率化により新しく生まれたリソースの活用については、「働き方改革の対応」「専門技師の育成」「生理機能検査の拡充」などの回答が多くありました。Atellica Solution を導入することで、現在の課題を改善し、今後あるべき姿をめざす取り組みを始められたご施設の発表内容をまとめた冊子「Atellica Solution News」と文献「医療と検査機器・試薬 第43巻1号」をご用意しました。 ご希望の方はお問い合わせください
今後検査室があるべき姿とは?
新たな業務にチャレンジ
検査室においても、チーム医療の参画、病棟業務や生理検査の拡充、精度管理の法制化などに対応していかなければなりません。厚生労働省は、大学病院(高度急性期)、急性期、回復期、慢性期と大きく4つの区分けを行い、地域包括ケアシステムを構築しようとしています。くわえて2025年に向けて、病院の急性期病床を減らし、療養病床を増床し、在宅への取り組みを進めようという方針です。そうなる前に臨床検査技師も病棟や在宅での業務ができる仕組みを作っていくべきでしょう。大都市に比べ、地方では高齢化がかなり進んでおり、今後、技師の採用も厳しくなることが予想されます。より検査室の省力化を進め、少ない人数で業務が行える体制にし、病棟などでの取り組みを進めることが重要なポイントになると考えます。
人と機器の役割分担
検査室では、効率化を掲げ、オートメーション化を進めることが重要な目標です。機器ができることは機器が行い、人が行うことは臨床検査技師が担うこととして役割分担を明確にすることが、これからの医療の変化に対応できると思います。