甲状腺ホルモン検査(甲状腺機能検査)
「甲状腺の機能」を調べる検査には、①甲状腺ホルモンの検査と②甲状腺に作用する下垂体ホルモンの検査の2種類があります。
甲状腺ホルモンには、トリヨードサイロニン(T3)とサイロキシン(T4)という二種類があり、血液中に遊離したこの二つのフリーT3(FT3)とフリーT4(FT4)を測定すれば、甲状腺機能が正常か、亢進しているか、低下しているかがわかり、使用している薬の効果も調べる事ができます。
一方、甲状腺に作用する下垂体ホルモンにはTSHがあり、甲状腺細胞表面に存在するTSH受容体と結合しT4を作る「ホルモンのリレー」が行われています。さらに甲状腺ホルモンT4とのネガティブフィードバック機能により、T4の分泌量を調節する機能があります。
甲状腺からのT4の分泌量が多くなる甲状腺機能亢進症は、新陳代謝を増大させるため、以下の症状が起こりえる甲状腺の病気です。逆にT4の分泌量が少なくなる甲状腺機能低下症は、代謝が減少するため以下の症状が起こりえます。
甲状腺自己抗体検査
抗サイログロブリン抗体(TgAb)、抗ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)、TSHレセプター抗体(TRAb)の三項目の検査があります。 さらにTRAbはTSAb(甲状腺刺激抗体)とTSBAb(甲状腺刺激阻害抗体)から成ります。
- 抗サイログロブリン抗体(TgAb)
Tg抗体、又TGHAとも呼ばれ、甲状腺にあるサイログロブリンという蛋白に対する自己抗体です。橋本病やバセドウ病では高く検出されます。 - 抗甲状腺ペルオキシターゼ抗体(TPOAb)
TPO抗体又MCHAとも呼ばれ、甲状腺ペルオキシターゼに対する自己抗体です。橋本病では、この自己抗体が高く検出されます。またバセドウ病でも検出される事があります。 - TSHレセプター抗体(TRAb)
甲状腺細胞表面にあるTSHが結合する場所(TSH受容体)に対する自己抗体で、バセドウ病の原因物質と考えられています。TRAbはTSAb (甲状腺刺激抗体)とTSBAb(甲状腺刺激阻害抗体)から成りますが、特にTSAbは甲状腺のTSH受容体に結合し、あたかもTSHの様に甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンをどんどん作らせてしまいます。