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医療法人鉄蕉会 亀田総合病院費用対効果も考慮し圧倒的に魅力のあるバージョンアップに決定。非造影下肢血管でもQISSで検査枠内で検査が可能に。

2018-09-07
kameda-general-hospital
左から:加藤 技師、永井 技師

[取材にご協力いただいた先生方]
医療技術部 画像診断室 永井 基博 技師
医療技術部 画像診断室 副室長 加藤 義明 技師
放射線科部長 大内 恵理 先生
放射線科部長・画像診断センター長 町田 洋一 先生

Avantofit バージョンアップ:2018年5月

当施設は、亀田総合病院(以下病院)にてMAGNETOM Avanto(以下Avanto)1台、亀田クリニック(以下クリニック)にてAvanto 2台、および他社3Tの計4台のMRIが稼働しており、Avanto初号機の設置から10年を迎えた2017年から装置更新の計画を始めました。当時検査枠は2~3週間(特殊検査は1ヵ月待ちもあり)先まで予約で全て埋まり、当日対応の検査もあるため、検査数を増やしたり新しい種類の検査に対応したりすることが難しい状況でした。総合病院として様々な患者への対応を考慮すると、汎用性のある1.5Tが複数台稼働していることが求められ、またこれらをスタッフがローテーションして操作するため操作性が共通であることが望まれます。新規装置への更新とMAGNETOM Avantofit(以下Avantofit)へのバージョンアップの双方を検討しましたが、現行のAvantoに不満はなくAvantofitの高い評判を耳にしていたので、費用対効果も考慮し圧倒的に魅力のあるバージョンアップを迷うことなく選択することができました。

バージョンアップは工事期間が短いことも大きな利点で、この間の予約検査は残り2台に振り分け滞ることはありませんでした。スタッフのトレーニングも、これ程大きなバージョンアップでありながらAvantoの基本操作がしっかり残っているので、皆苦労なく習得することができました。過去に新しい装置へ更新した際、全てのスタッフが落ち着いて全ての検査を対応できるようになるまで約3年を要したので、Avantofitには大きな機能向上であるにも関わらず安定運用(プロトコルの運用とスタッフのスキル習得)までが早いという大きなメリットがあります。当院では今後残り2台のAvantoも順にバージョンアップを進め、3台全て実施後には年間検査数2万件の壁が越えられるような変化を期待しています。


クリニックは外来患者、病院は入院患者とがん治療棟外来の患者の検査を実施しています。この度バージョンアップしたクリニックの1台は、当院Avantoの初号機として乳腺研究用に乳腺科主導で導入した装置で、乳腺検査が1日7~8件(Biopsyを含む)の他に単純検査と飛び入り検査を実施していたので、緊急対応や不測の事態に対応するためのアレンジに苦労していました。

バージョンアップを実施した後も検査の大枠は変更していませんが、新しく可能となったQISS法の下肢非造影血管検査や、大幅に画質が向上した整形検査などをAvantofitで実施する分、乳腺を他装置へ移動するなど検査内容の変化により全体の検査数は増加していると思います。
スタッフの気持ちも変化しており、特に非造影下肢血管検査を実施する際が顕著です。これまでのNATIVE法では検査枠を超えて実施していたので、下肢検査が予定されていると、どうアレンジしようか朝からピリピリしていましたが、QISSは検査枠内で十分に終えられるので気持ちにゆとりが生まれ、「下肢血管?喜んでやりますよ!」という一言が出てくるのです。無意識ではありますがスタッフの患者ケアが変化することで良い評判が生まれ、短期的な検査数の増加では見えない病院の利益へと繋がると考えます。
患者ケアという点では、コイルやテーブル操作などマグネット周りにおける手数が減ることで患者に注力でき、また検査室の照明は変更していませんがボアのライトで検査室全体が明るくなり、患者の不安を軽減させることができています。

検査数
検査数の変化
※Avantofitバージョンアップ:2018年5月

バージョンアップ後の2018年は、1日4件ほどの検査数が増加していますが、時間外検査の検査数に大きな増加はなく時間内に大きなストレスなく検査をこなせています。この結果に貢献しているのは、頭部のAuto Align(自動位置合わせ)などの活用です。ポジショニングを素早く終えることで前の検査の画像処理や次の患者の問診に時間を使うことができ、患者の入れ替えで装置を休ませることなく、結果としてスループットが向上しています。また、かなり無茶なパラメータ設定をしてもしっかりした画質が得られるので、バージョンアップでSNが上がったことをかなり実感できています。


亀田総合病院 乳腺 バージョンアップ前後比較画像

当院の特徴として挙げられる乳腺検査は、従来から全ての装置で実施できるよう調整しており十分高画質の画像が得られていたため、スムーズに移行することができました。拡散強調画像は、短いEcho spaceが設定可能となりSNが向上したことで、面内分解能だけではなくスライス厚も3mmから2.8mmに変更し、歪みも改善しています。

(ダイナミックVIBEは従来画像で十分満足されていましたが、同じパラメータでTR, TEが短く設定できることでSNが向上し、改めて傾斜磁場強度が上がったことを実感しました。短縮した時間は、定めているダイナミック時間に合わせさらに分解能を上げられています。)

亀田総合病院 整形(TFCC 損傷術前精査画像)

従来は「できるだけ薄いスライスで撮像してほしい」という医師からの依頼に、Flex Smallを使用した撮像では検査時間と画質を考慮し2.5mmが限界でしたが、バージョンアップにより導入したSpecial Purposeコイルで、以前は考えられなかった拡大FOV100mm、スライス厚2mm、かつ撮像時間は変えずに良好な画像が得られています。Avantofitで整形(スポーツ医学科)全般の画質が向上しているので、「前と同じで」という依頼に対しても可能な限り整形の検査はAvantofitで実施するよう調整しています。

亀田総合病院 下肢非造影血管画像

74歳男性
主訴 両足の痺れ ABI 右足0.67 左足1.0
慢性腎不全のため造影CTが施行できず、MRIとUSで精査。下肢血管非造影MRAにて右総腸骨動脈高度狭窄を指摘し、下肢PTA施行予定。

従来のNATIVE法は、画質不十分のため循環器からの依頼がなく、複雑な操作にスタッフが苦労する検査でした。QISSは画質に優れ操作も簡便、かつ検査時間もNATIVEの三分の一程度なので患者への負担が少なく、造影剤が使えない患者に対する3D CTAのバックアップとして自信を持って勧められます。切断の位置の判断は現状侵襲的なアンギオで行っていますが、QISSは非侵襲的に行うことができます。特に膝下三分枝から足先の描出については3D CTAに勝り、指先でPTAを行う際に要望が大きいのではと考えています。
(3D CTAは造影剤を使用しなければ描出が困難)

亀田総合病院 TWIST-VIBEを使用したMR-DSA

従来よりもMeasurementを増やし、スライス厚を7mmから5mmと薄く撮像していますが、1.2秒の高い時間分解能により総時間を延ばすことなく同じ領域をカバーできるため、より詳細な情報を提供することができます。

亀田総合病院 SPACEシーケンスの画質向上

頭部造影後の脂肪抑制併用T1WI、MRCP 3D Heavy T2WI、足関節3D T2WIと多岐に渡り使用しています。バージョンアップによりSQ-Engineとなり最大傾斜磁場強度が向上したことでエコースペースが短縮し、同じTurbo factorでもecho durationを短くすることができ、ボケの改善およびSNR向上により、1~2分の時間短縮ができている撮像もあります。

頭部などは、時間を短縮しながらもMPR表示を考えslice partial Fourierをoffに設定し3断面表示でもボケの少ない画像が提供できるようになりました。

TAKUMII 亀田クリニック画像
TR/TE/TI: 5400/70/180ms, b: 900sec/mm2
Pixel-size 2.62×3.15×5mm, 30slices×6stations, 6 Averages
撮像時間:1min59sec

(がん治療棟外来)血液腫瘍内科の「多発性骨髄腫」症例に限定して実施しています。Avantoでは2枚のBody Matrixコイルで微妙に範囲が足りず、途中で検査室に入りコイルの位置を変える工程がありました。サイズが大きくなったAvantofitのBody18コイルは、約15cm感度領域が拡がり撮像範囲を十分にカバーすることができます。作業工程が少なくなるだけでなくコイル選択のオペミスも防ぐことができ、多くのスタッフで安定的に施行するためには大きな利点です。現在は立地面から病院のAvantoで実施することが多い検査ですが、今後予定している同棟のAvantoをバージョンアップした際には検査枠に対して大きなインパクトとなり、大きな期待を寄せております。

  • 症例:多発性骨髄腫
  • 所見:右肋骨と左腸骨を中心とした四肢も含む広範の骨病変

多発性骨髄腫は上腕や前腕の病変も可及的に含むべく大きめのFoV設定とすることが望ましく、Avantofitの良好な磁場均一性が利点となります。fitバージョンアップによりSNRが向上し、従来呼吸により信号低下を来していた胸骨や前部肋骨も明瞭に描出されるようになりました。