[取材にご協力いただいた先生方]
放射線部 部長 久保田 晋 先生
放射線部 松浦 豊吏 技師
放射線部 戸村 直也 技師
Avantofit バージョンアップ:2016 年10月
バージョンアップ前はSkyra に限定した検査が多く、Avanto が空いていても検査を待っていただくことがありました。そこでAvanto のメリットを活かしてSkyraと同等にあらゆる検査に対応できる装置へ、新規の1.5T 装置の購入よりも費用面で抑えられるバージョンアップを当初から計画していました。院内では他社装置を使用したいという声もありましたが、読影する上で見慣れている画像がよいこと、1.5T に限定している当直帯は普段従事していない技師が操作するため操作環境が同じであることは安心感が強いこと、そして工期が短くダウンタイムを抑えられること、これらの理由からバージョンアップを決断しました。
他院でも同様のケースがあると聞いてはいましたが、当院では以前より緊急度の低い救急検査の対応に苦慮していました。装置の性能に偏りがあるため2 台で通常枠を1日24 件、救急枠6 ~10 件を確保しており、その結果1 週間以内の検査要望に応えられない状況が発生していました(救急がない場合には24 件のみ)。バージョンアップで2 台の性能が揃い均等に検査を割り振ることができるようになった結果、スループットが向上し通常枠を30 件に拡げることができました。
救急検査も受け入れ総件数34 ~38 件となり、収益面でも大きなメリットが得られています。また通常枠で予約に対応することができるため、以前のような1 週間以内の検査要望自体がなくなりました。バージョンアップは院内の先生方に予約待ちの状況を理解いただき、救急検査を整理する良い機会となりました。ペースメーカーや金属インプラントに対して1.5T に制限されることもあるので、画質が3T に近づいてくれることは複数装置を使用する上でとてもメリットが大きいです。
バージョンアップ前後の検査状況の変化
Skyra 3Tと同等の検査対応が可能
- Skyraに限定する必要がなくなった検査
頸部プラークDB、腹部ダイナミック、前立腺 - Avantofit を優先する検査
Large FoV の全脊椎、大腿下腿、全下肢非造影血管、心臓
Clinical Images
症例:多発性嚢胞
肝S4 の早期濃染・EOB 取り込み不良結節は増大している。r/o HCC。その他早期濃染結節はEOB 取り込み不良は明らかではない。
- EOB Primovist Dynamic
- iPAT: CAIPIRINHA
症例:多発子宮筋腫
前回より軽度増大。悪性所見明らかではない。腹水、病的リンパ筋腫大認めない。
- Pelvis Single-Shot EPI Diffusion
症例:多発脳梗塞
右分水嶺領域優位に多発脳梗塞。SMS は薄いスライス厚でもSNR が確保でき、かつ撮像時間も短縮可能。
- SMS Diffusion – Simultaneous Multi-Slice
- Thin Slice Diffusion Image
症例:右内頚動脈プラーク疑い
右内頚動脈に狭窄あり。BB 法にて起始部にT1WI 低信号、T2WI 高信号のプラークあり。粥腫等の不安定プラークが疑われる。Fast TSEシーケンスの導入で、1.5Tでも3Tと同等にフローボイド効果が得られるようになり、Skyra 限定検査から外すことが可能になった
症例:関節周囲骨外顆側に骨挫傷(骨髄浮腫)、外側半月板後角に軽度の変性断裂の可能性あり
- TxRx 15ch Knee Coil
ボランティア
- Special Purpose 4ch Coil
- FOV 60mm