トモシンセシス撮影による確信度の高い乳がん診療を目指す日本大学病院様

日本大学病院様

|2024-06-10
日本大学病院外観

日本大学病院では2024 年5月にトモシンセシス撮影が可能なマンモグラフィ装置MAMMOMAT B.brilliant が導入され、稼働開始しています。病変描出能に優れるトモシンセシス撮影は、精密検査だけでなく、フォローアップや検診でも運用されている施設が増えています。同マンモグラフィ導入の目的、機能の評価、稼働に伴う診療状況の変化、被検者の声などについてお話をうかがいました。


かながわクリニック小野技師
かながわクリニック小野技師

天野准教授:千代田区に位置する都心の大学病院として、幅広い地域の医療機関からのがん患者さんのご紹介や救急要請にこたえており、大学病院としての質を維持しながら個別化医療を推進しています。院内には検診センターもあり、予防医療やがんの早期発見に貢献しています。マンモグラフィ撮影もその一環にあり、全ての乳房撮影は女性技師が対応しているほか、レディースセンターおよび検診センターの専門医が活躍しています。当院の乳がん診療で特徴的なのは、今回の新装置の導入による診断能向上に加え、術後も見据え、患者さんの希望をできるだけ反映させるテーラーメイドの丁寧な治療を行っていることです。また、放射線科もMRIを用いた手術支援や術後の放射線治療で貢献しています。
(写真:放射線科 天野 真紀 准教授)

日本大学病院放射線科:天野真紀准教授

天野准教授:前任施設でトモシンセシスの画像に慣れていたせいか、既存のCR装置での2Dマンモグラフィのみでは読影に確信を持てない症例が度々あり、これを補完する目的で乳腺MRI 件数が多い傾向がありました。MRI は有用ではあるものの、検査所要時間の長さ、コスト高、偽陽性の増加などの問題があり、運用の変更を検討すべきだと考えていました。これらのことが、トモシンセシス機能を有するマンモグラフィ装置を導入するに至った主な理由です。MAMMOMAT B.brilliant を選んだのはデモンストレーションの際、画像の良さに惹かれたことと、振り角50° の広角トモシンセシス撮影という論理的根拠に納得できたことも大きな理由です。なお、トモシンセシス撮影に対する診療報酬加算請求が6月から可能になり、それを目的に導入を検討したわけではありませんが、結果として収益面も担保されることになりました。

天野准教授:導入後間もないので、2D画像、トモシンセシス画像の双方を撮影し、2D画像とトモシンセシス画像から得られる合成2D画像を比較している段階にあります。今のところ、トモシンセシス画像は、2D 画像を上回る症例経験ばかりです。例えば、2Dマンモグラフィ検診で局所的非対称性陰影(FAD)と判定され、当院乳腺外科受診となった被検者に、改めてMAMMOMAT B.brilliant でトモシンセシス撮影を行ったところ、スピキュラを有する腫瘤が描出されるという経験をしました。このときは、読影者も乳腺外科医も放射線技師も、MAMMOMAT B.brilliant のトモシンセシス撮影の威力を目の当たりにしました。

MAMMOMAT B.brilliant の導入により、今までカテゴリー3であった診断が確信をもってカテゴリーをあげられました。トモシンセシス撮影という選択肢が増えたことは、2Dのみでは不安という検診受診者にとって朗報です。また、トモシンセシス撮影の所要時間は約5秒* と短いため、外来診療の流れを止めることなく、余裕をもって検査を行えるようになりました。加えて、2D画像の画質が大幅に改善され、石灰化が明瞭に視認できると乳腺外科医は評価しています。装置選定時には主に検診領域でのトモシンセシス利用を検討していましたが、診療報酬改定と、トモシンセシスの良好な画質から乳腺外科でも積極的にトモシンセシスを用いる事になりました。その為、現在乳腺外科でもトモシンセシスの読影が行えるよう、環境整備に動き出しています。

遠藤技師:撮影時の被検者ポジショニングが改善されたことによって大胸筋まで挟めるようになったので、以前に比べて乳房の描出が向上したと感じています。朝一の立ち上げもスムーズです。電源をONにして他の装置を点検しているうちにMAMMOMAT B.brilliant の準備が完了します。撮った瞬間に写真が出ますし、準備作業の時間が短縮されました。被検者にも好評で、装置が新しくなったことについての感想を聞くと、「前よりも痛みが少ない」「装置のフォルムに温かみを感じる」といった答えが返ってきます。

金子技師:MAMMOMAT B.brilliant は優しい見た目だけでなく、乳房の圧迫をする際、最適な圧力で圧迫板が自動停止する機能(Op Comp)がよい目安になっています。モニターも見やすい位置にあり、操作性は良好です。(写真:放射線部 金子祐菜 技師)

日本大学病院放射線部:金子祐菜技師

遠藤技師:今のところは目に見えてマンモグラフィの検査数が増えているわけではありませんが、検診のオプションとして、トモシンセシス撮影を要望する数は着実に増えています。前もって要望されるケースもあれば、検査当日に追加する検診受診者もいます。トモシンセシス撮影の告知用ポスターを受付に貼るなどの広報活動を行っています。9月には女性が多く勤務する職場の検診が始まるので、そこで一気に検診受診者数が増えると予想しています。(写真:放射線部 遠藤朝野 技師)

日本大学病院放射線部:遠藤朝野技師

天野科長/ 教授:Siemens Healthineers には、基礎科学に裏打ちされた創造性を発揮するという企業姿勢を今後のハード/ソフトウエア開発においても堅持してほしいと考えています。今回導入したMAMMOMAT B.brilliant に搭載されている広角トモシンセシス撮影がそのよい例です。エンドユーザーの立場ではありますが、基礎的な論理を製品化にまで昇華することは容易ではないことはよく理解できます。しかしながら、Siemens Healthineers であれば、総合医療機器メーカーであることの強みを活かし、このハードルを越えられるものと信じています。

天野准教授:当院では搭載していませんが、トモシンセシスガイド下生検も期待できると感じます。また、トモシンセシスの導入時は、読影環境までアップデートする必要性を感じました。撮影だけでなく、読影環境の整備提案もしていただけると導入時の敷居が下がるのではないでしょうか。Siemens Healthineers であれば実践可能だと考えています。

遠藤技師:まだ稼働し始めたばかりということもあり、装置操作がわからなかった際に、Siemens Healthineers のコールセンターに問い合わせたところ、すぐに原因と解決法をわかりやすく教えてもらう事ができ、無事対処できました。翌日には保守担当の方が来院して状況の確認と助言をいただくなど、コールセンターと保守担当の円滑な連携に感心しました。アプリケーションの方には各種パラメータを設定していただいていますし、このような充実したサポートの実践を今後も期待しています。

日本大学病院放射線科:天野康雄科長・教授

2024年6月10日取材

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広角トモシンセシスの短時間撮影を実現したMAMMOMAT B.brilliantを診療・検診双方に活かす

日本大学病院放射線科の先生方

日本大学病院

  • 所在地:東京都千代田区神田駿河台1‐6
  • お話をおうかがいした先生
    放射線科:天野康雄 科長/教授、天野真紀 准教授
    放射線部:遠藤朝野 技師、金子祐菜 技師
MAMMOMAT B.brilliant

MAMMOMAT B.brilliant

ブレストケアを次のステージへ導く、新たな高速トモシンセシス「PlatinumTomo」搭載。優れた平面分解能、最高の深度分解能1 とカスタマイズ可能な画像処理、被検者と撮影者にフォーカスした新しいシステム設計。

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50° 広角トモシンセシスのメリットはそのままに、トモシンセシスの短時間撮影を実現。PlatinumTomo は迅速な診断に繋がる高精細画像を提供し、ブレストケアにおける新たなトモシンセシスです。

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