よりよい乳腺診療環境の構築をめざして

社会医療法人美杉会男山病院様事例

「検診でトモシンセシスって本当に必要?読影の負担が増えるのでは?」と思っていませんか?
トモシンセシスを導入いただいたご施設のワークフローや、導入後の診断の変化について、ユーザー様の生の声をお届けします。

男山病院様

|2022-11-18
男山病院:松方絢美先生

前編

松方 先生:京都府八幡市は人口に対して、さまざまな疾患に対する専門病院が少ない自治体です。ここに位置する中堅病院の中でブレストセンターを築くのは、ひとつの大きな目的でした。当院は以前から癌の手術・治療だけでなく緩和ケアを行う体制が整っていました。そのため乳がん治療のしっかりしたベースがある環境で、スタートできたセンターです。
ブレストセンターができる前は、乳がん検診を当院で受診した後、要精査で再度いらっしゃる方は少なかったのですが、現在では、ほとんどの要精査の方々がブレストセンターに来られています。当院で、きちんとスクリーニングから診断、治療、アフターケアまでできることを地域の方々にお伝えしていきたいと思っています。

広田 科長:当院は京都府八幡市、大阪府枚方市を中心に73 事業所を運営している美杉会グループの病院です。特に当院は高齢者の多い京都府八幡市においてニーズの高い、急性期医療、回復期リハビリ、緩和ケア、訪問看護、介護分野に尽力している施設です。
2021年1月、乳腺外科専門医の松方先生が着任され、4月にはブレストセンターが開設されました。新たに導入したトモシンセシス撮影ができる乳房撮影装置MAMMOMAT Revelationや乳房吸引式組織生検用装置を用い、放射線部で精密検査であるバイオプシー検査を行うことができますし、手術、化学療法、放射線を用いた治療を行うこともできます。
他にも、整形外科領域にも注力しており、ナビゲーションシステムを導入し、リウマチや変形性膝関節症などの治療を行っています。高齢者の多いこの地域の特性に合わせた診療に取り組んでいる病院です。
(写真:放射線部 広田秀雄 科長)

男山病院:広田秀雄科長

松方 先生:MAMMOMAT Revelation の画質と低被ばくを評価し、この装置を選定しました。医師だけの意見だけではなく、撮影される技師さんの使い勝手のよさ、患者さん、受診者さんの見方にも配慮し、最終的にこのMAMMOMAT Revelationの導入が決まりました。

広田 科長:担当営業さんから、初めてこのMAMMOMAT Revelation の説明を受けたときから、非常に精度の高い検査ができる装置というだけではなく、被検者さんの目線で作られた装置であると思いました。さらに詳細をうかがうと、痛み、被ばくの軽減にとどまらず、薄い乳房支持台によりポジショニングの制限が緩和され、ハードルが低くなること、LEDライトを用いたイルミネーションで検査室に落ち着いた雰囲気を演出できることなど、きめ細かな配慮がなされた装置であるとわかり選定に至りました。撮影装置のサイズ、レイアウトの検討も行い、狭い撮影室でバイオプシーが行えることも、選定理由のひとつとなりました。
管理する技師側としても、装置のキャリブレーションの頻度が少ないこと、専用のファントムが不要なこと、短時間で検査が完了することなど、メリットが多い装置だと思います。

足立 技師:装置選定前に、MAMMOMAT Revelation以外にも、他メーカーの装置も見学にうかがいました。乳房撮影装置の操作性、導入後の運用だけではなく、画像も確認したところ、やはりMAMMOMAT Revelationのトモシンセシス画像は、X線管の広い振り角から画像を再構成しているため、乳房の中心部分だけではない皮膚の周辺まで鮮明だったのが印象に残りました。さまざまな観点で検討した結果、この装置を選定しました。(写真:放射線部 足立彩 技師)

男山病院放射線部:足立彩技師

松方 先生:通常の外来診療では、この患者さんにトモシンセシスが必要かどうかを、私自身が判断しています。市の乳がん検診で要精査の方、術後フォローの方は、トモシンセシスを撮影することが多いです。2Dマンモグラフィで局所的非対称性陰影(FAD)がある場合は、その部分をしっかり診断したいため、追加でトモシンセシス撮影をオーダーするという流れになっています。
一方、検診では、40歳代の方に積極的にトモシンセシスをおすすめしています。もちろんトモシンセシスの有用性、撮影方法などをきちんと医師、技師が説明し、同意を得たうえでトモシンセシス検査を実施しています。検診では40歳代女性の多くが、2Dとトモシンセシス撮影の両方を受けられています。50歳代以上の受診者さんには、院内掲示物や検診受診時のファイルでのトモシンセシス検査についての説明資料をご覧になり、ご自身で検査を希望された場合にのみ撮影しています。
トモシンセシスの撮影は、外来患者さんも検診受診者さんもMLO のみです。Siemens Healthineers のトモシンセシスであれば、MLOのみでしっかりと診断できますので、CCのトモシンセシス画像は必要ありません。2D 画像で診断がつけにくい症例でも、MLOのトモシンセシスなら小さな病変も描出されるためです。また、MAMMOMAT Revelation は受診者さんの側にX線管のでっぱりがなく、CCの場合も撮影しやすいと技師さんから聞いています。

広田 科長:撮影後の流れは、装置の画像収集ワークステーションのモニタで画像を確認し、2D、トモシンセシス画像をすべてPACS に送信します。その後、松方先生をはじめ、乳腺外科医、外科医の計4名が12MPの医用画像表示モニタを使用し、マンモグラフィ専用ビューワで読影し、レポートを作成しています。すべての患者さん、受診者さんの画像について、当院で2次読影まで行っています。電子カルテの端末でも、2D、トモシンセシスの画像を閲覧できるシステムを構築しています。

松方 先生:撮影後、診察室で2Dだけではなく、トモシンセシスの画像もすぐに読影できます。MAMMOMAT Revelation の画像は画素サイズが85μmで、2Dデータ、トモシンセシスデータともに容量が小さく、撮影後すぐに画像を読影できますので、診察がスムーズに進みます。やはり読影する際に、画像を呼び出し、モニタに表示されるまでの時間が長いと、医師だけでなく患者さんもストレスを感じると思います。

松方 先生:画質については、十分に満足しています。グリッドレスで低被ばくのPRIMEテクノロジーの画像も、従来の2D画像と同様にしっかりと病変を描出できています。実は、この装置を使用する前は「トモシンセシスはなくてもいいのでは? 2Dで十分」という考えでした。しかし、超音波検査では所見の描出が弱い際に、トモシンセシスではしっかりと病変を描出でき、カテゴリーがアップしたという症例をいくつか確認して考えが変わりました。今は「トモシンセシスありき、あってよかった!」と思っています。今後も積極的にトモシンセシスを活用していきたいと考えています。

広田 科長:装置稼働後3日目に、2D画像でFAD(局所的非対称性陰影)が認められた症例において、高精細なトモシンセシス画像でスピキュレーションを伴う腫瘤が明瞭になった例を目のあたりにし、衝撃を受けました。

西林 技師:画質がいいな! と思っています。2D画像で、乳腺内外のコントラストもしっかりついていますし、淡い石灰化症例もきちんと描出されています。もちろんトモシンセシス画像でも病変が見やすくなっています。
(写真:放射線部 西林由記 技師)

男山病院放射線部:西林由記技師

社会医療法人美杉会 男山病院

  • 所在地:京都府八幡市男山山泉19
  • 病床数:199床
  • 主なご導入装置:
    MAMMOMAT Revelation
    MOBILETT Plus HPCios Select
  • お話をおうかがいした先生
    乳腺外科:松方絢美 先生
    放射線部:広田秀雄 科長、足立彩 技師、奥田彩花 技師、西林由記 技師

男山病院乳腺外科、放射線部の先生方

後編

松方 先生:現在、超音波で病変を確認し得ない症例のみ、月に2~3 件バイオプシー検査を行っています。今まですべての症例をトモバイオプシーで行っています。ターゲットとする石灰化が非常にクリアで見やすく、即時にターゲッティングできます。またバイオプシー検査の途中で採取した標本を撮影できるInSpectも使用しています。MAMMOMAT Revelationで行うトモバイオプシー検査は、非常に短時間ですみます。症例にもよりますが、「検査を始めます」と言ってから、止血終了まで最短20分ほどで終わります。他社のバイオプシー装置を使用したことがありましたが、装置選定時のプレゼンテーションで、Siemens Healthineers のバイオプシーの動画を見たときには、こんなに簡単なのかと驚きました。今も、その驚きを実感しています。

足立 技師:ブレストセンターが開設されるまで、当院ではバイオプシー検査は行っていませんでした。MAMMOMAT Revelationは、初めてバイオプシー検査を行う技師にとって非常に使いやすい装置だと思います。吸引装置をセットするホルダーは、ネジ止めなどの必要もなく簡単に固定できますので、着脱がラクです。座標軸の精度も高く、ズレがないので安全に検査ができます。

奥田 技師:標本撮影、InSpect の撮影も非常に簡単です。患者さんの心理に配慮した専用ケースに、採取した標本を入れ撮影を行います。ケースをバイオプシー台にセットして、ばく射するだけです。照射野にコリメータを入れるなどの作業も必要ありません。
(写真:放射線部 奥田彩花 技師)

男山病院放射線部:奥田技師

足立 技師:導入以前から、MAMMOMAT Revelation にトモシンセシスやバイオプシーなどの機能があると知ってはいましたが、どちらも今まで使用したことはありませんでした。また、Siemens Healthineers の製品を使用するのも初めてでしたが、アプリケーションのトレーニングが充実していますし、マニュアルにも丁寧に検査手順が記載されているため、問題なく撮影、検査を行えています。

西林 技師:私は、他院でSiemens Healthineersのアナログ乳房撮影装置の使用経験がありました。乳房支持台が薄い点など、従来装置からの長所が継承されています。また、撮影装置、画像収集ワークステーションの操作方法も簡単だと思います。

奥田 技師:ほぼ最適な圧迫圧で撮影できる、Op Comp機能を使用しています。今までは、多くの患者さんや受診者さんから「マンモグラフィ検査は痛い!」と言われることがありました。そのため、痛みを軽減できる機構はぜひとも必要だと思っていました。実際、MAMMOMAT Revelation を使用した検査では、多くの患者さんや受診者さんから「前の装置より痛みが減った」という声をいただきました。また、乳房のポジショニング時に、どうしても自分の手を圧迫せざるを得ないケースがあります。その際に「今までよりも痛みが少ない!」と身をもって感じています。もちろんそれぞれの乳房に対する最適な圧力で圧迫していますので、しっかりと乳腺が伸展した画像が得られます。

西林 技師:撮影装置に、オプションのLEDライトを使用したムードライトをつけています。現在は薄いピンク色に設定しています。今回、新しい装置を導入する際に、マンモグラフィ撮影室の壁紙を、淡いピンク色とホワイトに変えました。撮影装置のライトとマッチしていると思います。撮影室に入室された患者さんが「かわいい!」と言ってくださることもあります。そこから会話がはずむこともありますし、なごやかな雰囲気でリラックスして検査を受けていただけていると思います。

松方 先生:トモシンセシス画像を読影し、小さな病変も描出できるため、診断がついたという症例がすでに複数例あります。MAMMOMAT Revelationではトモシンセシス撮影も低被ばくで撮影できますので、今後は検診も含めて撮影件数を増やしていきたいと思っています。

広田 科長:松方先生のお話にもありましたが、トモシンセシスの検診利用を考えています。対策型検診の40歳代、それ以外の年齢の希望者には同意を得て、現在は有料のトモシンセシスを無料で追加する案もあります。八幡市の健康推進課に相談し、この案を進めていく予定です。またトモシンセシスについては現在、広報誌、ホームページ、SNSなどで情報を発信し、地域にPRしています。

松方 先生:現在、さまざまな種類のAI が存在していますが、最終的には医師の読影が必要で、AIには、まだ技術的な不確かさがあると思います。より診断精度が向上したAI を開発していただければ、実際の診療に取り入れていきたいと思います。

広田 科長:診断に関するAI だけでなく、AI の技術を患者さんの負担軽減、ワークフローの改善、標準化などに活用していただきたいと思っています。また、イノベーションリーダーとして、痛み、被ばくなど、従来からのマンモグラフィ検査の課題改善に向けて今後も取り組んでいただきたいと思います。

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マンモグラフィ2Dとトモシンセシス比較

HD Tomosynthesis *

± 25°(振り角50°)と広いX 線管の振り角で画像を収集し、スライス画像を再構成します。X 線管の広角撮影により、深さ方向の分解能に優れ、組織に隠れて見えなかった関心領域を明瞭に描出します。(写真左:2D画像 右:トモシンセシス画像)

バイオプシー検査

HD Tomo Biopsy with InSpect

高精細なトモシンセシス画像を用い、より正確にターゲッティングを行い、バイオプシー検査を行えます。またInSpect 機能で、検査のワークフローに標本撮影を組み込み、迅速で精度の高いバイオプシー検査を行うことができます。

2022年11月18日取材


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