市の乳がん検診で要精査の方、術後フォローの方は、トモシンセシスを撮影することが多いです。2Dマンモグラフィで局所的非対称陰影(FAD)がある場合は、その部分をしっかり診断したいため、追加でトモシンセシス撮影をオーダーするという流れになっています。
前編
後編
松方 先生:現在、超音波で病変を確認し得ない症例のみ、月に2~3 件バイオプシー検査を行っています。今まですべての症例をトモバイオプシーで行っています。ターゲットとする石灰化が非常にクリアで見やすく、即時にターゲッティングできます。またバイオプシー検査の途中で採取した標本を撮影できるInSpectも使用しています。MAMMOMAT Revelationで行うトモバイオプシー検査は、非常に短時間ですみます。症例にもよりますが、「検査を始めます」と言ってから、止血終了まで最短20分ほどで終わります。他社のバイオプシー装置を使用したことがありましたが、装置選定時のプレゼンテーションで、Siemens Healthineers のバイオプシーの動画を見たときには、こんなに簡単なのかと驚きました。今も、その驚きを実感しています。
足立 技師:ブレストセンターが開設されるまで、当院ではバイオプシー検査は行っていませんでした。MAMMOMAT Revelationは、初めてバイオプシー検査を行う技師にとって非常に使いやすい装置だと思います。吸引装置をセットするホルダーは、ネジ止めなどの必要もなく簡単に固定できますので、着脱がラクです。座標軸の精度も高く、ズレがないので安全に検査ができます。
奥田 技師:標本撮影、InSpect の撮影も非常に簡単です。患者さんの心理に配慮した専用ケースに、採取した標本を入れ撮影を行います。ケースをバイオプシー台にセットして、ばく射するだけです。照射野にコリメータを入れるなどの作業も必要ありません。
(写真:放射線部 奥田彩花 技師)
足立 技師:導入以前から、MAMMOMAT Revelation にトモシンセシスやバイオプシーなどの機能があると知ってはいましたが、どちらも今まで使用したことはありませんでした。また、Siemens Healthineers の製品を使用するのも初めてでしたが、アプリケーションのトレーニングが充実していますし、マニュアルにも丁寧に検査手順が記載されているため、問題なく撮影、検査を行えています。
西林 技師:私は、他院でSiemens Healthineersのアナログ乳房撮影装置の使用経験がありました。乳房支持台が薄い点など、従来装置からの長所が継承されています。また、撮影装置、画像収集ワークステーションの操作方法も簡単だと思います。
奥田 技師:ほぼ最適な圧迫圧で撮影できる、Op Comp機能を使用しています。今までは、多くの患者さんや受診者さんから「マンモグラフィ検査は痛い!」と言われることがありました。そのため、痛みを軽減できる機構はぜひとも必要だと思っていました。実際、MAMMOMAT Revelation を使用した検査では、多くの患者さんや受診者さんから「前の装置より痛みが減った」という声をいただきました。また、乳房のポジショニング時に、どうしても自分の手を圧迫せざるを得ないケースがあります。その際に「今までよりも痛みが少ない!」と身をもって感じています。もちろんそれぞれの乳房に対する最適な圧力で圧迫していますので、しっかりと乳腺が伸展した画像が得られます。
西林 技師:撮影装置に、オプションのLEDライトを使用したムードライトをつけています。現在は薄いピンク色に設定しています。今回、新しい装置を導入する際に、マンモグラフィ撮影室の壁紙を、淡いピンク色とホワイトに変えました。撮影装置のライトとマッチしていると思います。撮影室に入室された患者さんが「かわいい!」と言ってくださることもあります。そこから会話がはずむこともありますし、なごやかな雰囲気でリラックスして検査を受けていただけていると思います。
松方 先生:トモシンセシス画像を読影し、小さな病変も描出できるため、診断がついたという症例がすでに複数例あります。MAMMOMAT Revelationではトモシンセシス撮影も低被ばくで撮影できますので、今後は検診も含めて撮影件数を増やしていきたいと思っています。
広田 科長:松方先生のお話にもありましたが、トモシンセシスの検診利用を考えています。対策型検診の40歳代、それ以外の年齢の希望者には同意を得て、現在は有料のトモシンセシスを無料で追加する案もあります。八幡市の健康推進課に相談し、この案を進めていく予定です。またトモシンセシスについては現在、広報誌、ホームページ、SNSなどで情報を発信し、地域にPRしています。
松方 先生:現在、さまざまな種類のAI が存在していますが、最終的には医師の読影が必要で、AIには、まだ技術的な不確かさがあると思います。より診断精度が向上したAI を開発していただければ、実際の診療に取り入れていきたいと思います。
広田 科長:診断に関するAI だけでなく、AI の技術を患者さんの負担軽減、ワークフローの改善、標準化などに活用していただきたいと思っています。また、イノベーションリーダーとして、痛み、被ばくなど、従来からのマンモグラフィ検査の課題改善に向けて今後も取り組んでいただきたいと思います。
高精細画像が医師の迅速な意思決定をサポート、女性たちの未来を創る
* オプション
2022年11月18日取材