八尾徳洲会総合病院では、「手術室ありき」のハイブリッド手術室を目指すことで、心臓血管外科のみならず、整形外科、脳神経外科、一般外科までが活用できる稼働率の高い手術室を実現。中でも整形外科による脊椎手術では、日本メドトロニック社のナビゲーションシステムと連携することで、手術件数も手術内容も格段に向上しています。ハイブリッド手術室対応多軸型X線透視・撮影装置「ARTIS pheno」への評価も含め、お話を伺いました。
ハイブリッド手術室はどのように運用していらっしゃるのでしょうか
谷先生「ハイブリッド手術室の導入にあたっては、血管造影室を前提としたハイブリッド手術室ではなく、手術室の中にX線透視・撮影装置を付け加えるという『手術室ありき』のハイブリッド手術室を目標とし、そのための設計や機器選定を行いました。その結果、心臓血管外科の開心術やステントグラフト内挿術のみならず、整形外科によるX線透視・撮影装置とナビゲーションシステムを連携させた脊椎手術や、脳神経外科の脊椎手術、さらには虫垂切除といったX線を使わない一般外科手術まで行える手術室が実現しました。そのおかげでハイブリッド手術室の稼働率は非常に高く、部屋が遊んでいることはほとんどありません。」
八鍬主任「内視鏡手術にも対応できるようにコネクターが壁付けされていたり、内視鏡でも天吊りモニタが使用できるなど、多くの科が利用できるように設計されているので、それが9割以上という稼働率にも反映されています。また、導入したX線透視・撮影装置ARTIS phenoが床置式のため、天井懸垂型のように天井をはつる必要がなく、工期が短くて済んだのもとてもよかったと思います。」
ARTIS phenoとナビゲーションシステムを連携させた脊椎手術についてお聞かせください
當麻先生「以前は術前に撮ったCT画像を手術時に実際の身体と同期させるのに手間がかかりましたが、今は術中にDynaCTを撮影してナビゲーションに転送すればすぐに手術を始められるので、術前にCTを撮る必要がなくなりました。ワークフローの向上や被ばく低減につながっているといえるでしょう。また、難しい部位へ椎弓根スクリューを刺入するときも、三次元画像で確認しながら行えるため、より太くより長いスクリューをできるだけはずれにくい箇所に狙い打ちできるようになったのも、大変有用なことだと思いますね。今では脊椎手術の件数も増加し、内容的には大きな脊椎外科センターなどにも負けないくらいの手術ができていると自負しています。」
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