診療放射線技師の乳腺診断検査への取り組み

医療法人藤森医療財団 藤森病院様 後編

「マンモグラフィに痛みはつきもの」とお考えではありませんか?
必要最小限の痛みで精度を担保。検査時の患者さまのご負担を減らします。

藤森病院様:後編

|2020-04-29

<p>関山 史織 技師</p>

後編

はい。そういえば先日、撮影中に「あっ!動いちゃったかも」と言 う方がいらっしゃり焦りました。緊張してというのではなく、余裕のある中での言葉でした。検査中に話しかけられたのも驚いたので すが、画像を確認するとボケもなく、話せるくらいの余裕の中でボ ケの無いしっかりとした画像が撮れるのだと思ったことを覚えてい ます。導入当初は患者さんが動いてしまわないか心配でしたが、実際動いてしまって再撮影したことも今のところありませんね。

デジタル装置になるとパネル自体は今までのCR装置のときよ り大きくなるため、ポジショニングが今までと変わってしまって操 作しづらいという噂を聞いていました。しかしそんなことはなく、私自身は今までとほぼ変わらない感覚で最初からポジショニング ができています。圧迫板もCR装置の時と同じ大きさの物でトモシンセシスも撮影できるので違和感はないですね。またデジタルの場合、モニタの操作が煩雑だと、撮影時に手間取ってしまうと思ったのですが、簡潔でわかりやすく使いやすい点も良 いです。

当院では必ず担当技師がコメントを付けたレポートを作成しています。病変が疑われる場合にはレポートに所見があるスライス 画像を添付し矢印などでその位置がわかるようにして医師へ送り ます。読影時間は2Dのみの場合と比べるとトモシンセシス有りの 方が枚数が増える分少しかかりますが、逆にこれはFADなのか?腫瘤なのか?乳腺の重なりなのか?など2Dのみでは迷う所見もトモシンセシスを見れば一目瞭然で迷う時間が減りました。トモシンセシスの画像は見慣れるまでは戸惑うかもしれませんが、慣れ た今では導入当初よりも読影時間も短くなっていると思います。トモシンセシスの画像で腫瘤などの位置とだいたいの深さがわかるので超音波検査もスムーズに行うことができます。超音波でわかりにくい所見の場合迷うこともありますが2Dのみではわからない深さの情報があるので見逃しにくくなるのではないかと思います。

診療報酬点数が設定されていないという問題はあると思います (2020年6月時点)。ですが、導入して約一年、トモシンセシスを撮影しなければ見逃していた乳がんを目の当たりにし、トモシンセシスの有用性は確実に感じています。また精密検査をすると結局何もないのだけれど、毎年マンモグラフィ検査で引っかかると不 安がられている方にも有用なものだと感じています。だからこそ、健診ではトモシンセシスのパンフレットを作成して配布するなど啓発活動を積極的に行っています。各ご施設の事情も色々あるかと思いますが、運用可能な状況であるなら是非前向きにとらえていただきたいと思います。


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