- 自走式の本体とCアーム位置の再現機能により、術中の装置の操作を自動化し、Cアーム操作の時間を大幅に短縮
- 複数の操作が可能なリモートコントロール端末により、術中のCアーム操作スタッフの削減に貢献
- モーターアシストにより、装置の移動のための身体的負荷を軽減
シーメンスヘルスケア株式会社(東京都品川区、代表取締役社長: 森 秀顕、以下 シーメンスヘルスケア)は、さまざまな自動化技術により、X線透視下手術の時間短縮・効率化に貢献する外科用モバイルCアームイメージングシステム「CIATRIC Move(シアティック ムーブ)」を3月5日より販売します。
日本における人口減少および人口構造の変化により、医療従事者の不足が深刻な問題となっています。厚生労働省が2022年9月16日に発表した厚生労働白書によると、2040年には医療・福祉分野の就業者数が96万人不足する、と見込まれています。特に外科領域においては、外科医の不足が深刻な状況*1で、外科医・手術スタッフの身体的・精神的負荷の軽減や、手術室の効率的な運用が求められています。
この度シーメンスヘルスケアが 発売する「CIARTIC Move」は、こうした社会課題の解決のため、当社の外科用X線撮影装置の新たなラインナップとして開発されました。外科用X線撮影装置(モバイルCアームイメージングシステム)は、手術中に患者身体内部の骨、臓器、血管だけでなく、手術器具の体内での位置などをリアルタイムに観察するためのX線透視診断装置です。高精細なリアルタイム画像や高い操作性で高度な外科手術をサポートする一方で、医療従事者の不足に伴い、X線撮影のための放射線技師や装置の移動のための人員の確保などが課題となっていました。CIARTIC Moveは、本体の移動やCアーム(X線照射部)操作の自動化、リモートコントロール端末による複数機能の操作により、手術時間の短縮や手術の効率化、それにともなう医療従事者の負荷軽減と病院経営効率の改善に貢献します。また、装置の自動化により操作時間を短縮することで、放射線被ばくの低減にも寄与します。
なお、本装置は、2024年4月12日(金)から14日(日)までパシフィコ横浜で開催される、「2024国際医用画像総合展」の当社ブースに展示されます。
自走式の本体とCアーム位置の再現機能により、術中の装置の操作を自動化し、Cアーム操作の時間を大幅に短縮
整形外科や心血管領域の手術の多くはX線透視下の手術で行われ、術中に外科医が必要とする正確なX線画像情報を得るために、Cアームの位置を微細に調整する必要があります。手動で繰り返し位置調整を行う作業は時間と集中力を要するため、手術スタッフの身体的負荷や手術時間の管理において、大きな課題となっていました。
本装置は、Cアーム位置の調整から本体の車輪の動きまで全てが電動制御されているため、術中の撮影に関するワークフローを自動化し、従来の手動の移動式Cアームイメージングシステムと比べて術中の装置使用を約50%短縮することができます*2。術中のCアーム操作の時間を短縮することで、患者への身体的負荷軽減、手術スタッフの被ばく量の低減、手術室の効率的運用による病院の経営効率改善に貢献します。
術中のX線画像撮影を自動化する各種機能:
- 多方向に精緻な自走が可能な車輪を搭載
- ボタンを押すだけで、各手術における最大12のCアーム位置を記憶・再現できるポジション・アシスト機能
- 手術台の位置と所定の待機場所を記憶して、リモコン操作1つで自動で 本体が行き来するパーク・アシスト機能
- 自動で焦点の補正を行い、常に被写体が中心部に置くことができるISOアシスト機能
複数の操作が可能なリモートコントロール端末により、術中のCアーム操作スタッフ数の削減に貢献
術中必要とされるX線透視のために、放射線技師が数時間にわたり手術に立ち会う必要がありますが、昨今の深刻な医療従事者の不足に加え、タスクシフトによる放射線技師への負荷が増えていることから、手術のための放射線技師の時間の確保が難しくなっています。また、放射線技師に限らず、1日に複数回、長時間行われる手術のための人員確保が難しくなっています 。
本装置は、ワイヤレスのリモートコントロール端末を使って、外科医自ら装置の移動やCアーム位置の操作、X線照射、 装置の非常停止などの操作が可能です。これにより、術中のCアーム操作に要するスタッフ数の削減に貢献します。装置の各所に搭載された各種センサーが障害物を検出し、モーターの動きを停止したり、緊急ブレーキを作動させて衝突を回避するので、少ない人数での操作でも安全に使用することができます。
モーターアシストにより、装置の移動のための身体的負荷を軽減
重量のある装置を手術室間、あるいは手術室内で移動するには、身体的負荷が伴います。本装置はパワーアシスト機能を搭載しているため、身体的負荷をあまりかけずに装置を移動することが可能です。
2 整形外傷外科医による10名の検体を用いた実証結果。移動型デジタル式汎用一体型X線透視診断装置 Cios Spinとの比較