硬さを診る - 超音波の第3のステージシアウェーブエラストグラフィ
超音波診断法は,2Dモードの「第1のステージ」、ドプラ法による血流イメージングの「第2のステージ」、そして組織の硬さを画像化および定量化する「第3のステージ」へ突入しました。
シアウェーブエラストグラフィとは
超音波による硬さの検出
Siemens Healthineers の超音波画像診断装置に搭載されるシアウェーブエラストグラフィは、組織の硬さを画像化及び定量化することができます。中でも、簡便かつ安定した肝硬度計測を行えるのが Point Shear Wave Elastography(pSWE)です。Siemens Healthineers の pSWE はVirtual Touch Quantification(VTQ)の名称で2008年に登場し、以来、変わらぬ数値をご提供させていただいております。
肝線維化評価を可能にするソリューション
pSWE/VTQ は、Acoustic Radiation Force Impulse (ARFI:音響放射圧)によるプッシュパルスを用いて組織を押し、せん断波の伝搬速度を計測します。ワンクリックですぐに計測結果が表示され、簡便・非侵襲的に肝線維化の定量評価が可能です。
グローバル他施設共同研究* において、METAVIR スコアによる肝線維化ステージとpSWE/VTQ の計測値との相関も示されています。
* <出典>Sporea I, Tanaka H, Iijima H, Saito H, Ebinuma H, Takahashi H, Ono N, et al. Acoustic Radiation Force Impulse elastography for fibrosis evaluation in patients with chronic hepatitis C: an international multicenter study. Eur J Radiol. 2012 Dec;81(12):4112-8.
肝線維ステージとpSWE / VTQ の計測値との相関
藤田保健衛生大学病院(現 藤田医科大学病院)インタビュー
肝生検を何回も繰り返して行うのは、実際にはなかなか難しいことです。繰り返し実施できる超音波による肝硬度測定は、変化を見るという点で非常に重要だと思います。
操作が非常に簡便なので、直観的、感覚的に理解できることですね。実際に測定する場合に、自分たちが設定したい任意のポイントに簡単に置くことができるのもメリットです。
藤田保健衛生大学病院は、超音波画像診断装置ACUSON S2000に搭載されたポイントシアウェーブエラストグラフィVirtual Touch Quantification(以下 VTQ)を用いた肝硬度測定をルーチンで実践されている藤田保健衛生大学病院 肝胆膵内科 吉岡 健太郎 教授、臨床検査部 超音波センター 西川 徹 係長に、VTQ の有用性と今後の展望についてお話をうかがいました。
全文はPDFでご覧いただけます
(ヘルスケアソリューションの情報発信誌:Siemens Future Vol.33 からの抜粋)
<動画>肝硬度計測の仕方
Bモード画像を見ながら最適な位置とタイミングで計測可能
測定の際、プローブを当てる位置は剣状突起下のラインと腋窩中央を下にたどったラインの交点付近です。Bモード画像を観察しながら、音響陰影や血管を避けた肝硬度計測に適した条件の場所にROIを置きます。あとはボタン1つ押すだけ。1秒程度で計測値が画面に表示されます。
クリニカル情報
Virtual Touch Quantificationによる肝線維化診断および肝腫瘍性疾患の診断の試み
筆者:飯島 尋子先生(兵庫医科大学 超音波センター)
- VTQ の臨床的原理
- VTQ の測定方法とコツ
- 肝線維化診断
- 肝腫瘍性疾患の診断 など
Virtual Touch Quantificationの新しい臨床応用
~肝硬度診断を超えて発癌予測に迫る~
筆者:青木 智子先生(兵庫医科大学 超音波センター、公立八鹿病院 内科)、飯島 尋子先生(兵庫医科大学 超音波センター)
- Shear wave imaging測定原理と留意点
- 線維化診断
- 測定値の正しい理解のために
- 肝発癌予測
- Shear wave imagingを主軸とした肝疾患診療アルゴリズムの提案 など