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医師の働き方改革
三位一体の改革として進められる「医師の働き方改革」
三位一体の改革
超高齢化社会となる2040年を展望した2025年までに着手すべきこととして、打ち出されている2025年プランは、「地域医療構想」「働き方改革」「医師偏在対策」の三位一体で推進していくことが計画されています。医師・医療従事者の働き方改革の推進においては、特に医師の労働時間管理の徹底が求められています。
三位一体で推進
- 地域医療構想の実現等
- 医師・医療従事者の働き方改革の推進
- 実効性のある医師偏在対策の着実な推進
地域医療構想
- 全ての公立・公的医療機関等における具体的対応方針の合意形成
- 合意形成された具体的対応方針の検証と地域医療構想の実現に向けた更なる対策
- かかりつけ医が役割を発揮できるための医療情報ネットワークの構築や適切なオンライン診療等を推進するための適切なルール整備等
働き方改革
- 医師の労働時間管理の徹底
- 医療機関内のマネジメント改革:管理者・医師の意識改革、業務の移管や共同化(タスク・シフティングやタスク・シェアリング)、ICT等の技術を活用した効率化等
- 医師偏在対策による地域における医療従事者等の確保(地域偏在と診療科偏在の是正)
- 地域医療提供体制における機能分化・連携、集約化・重点化の推進(これを推進するための医療情報の整理・共有化を含む)→ 地域医療構想の実現
医師の偏在対策
- 地域医療構想や2040年の医療提供体制の展望と整合した医師偏在対策の施行
・医師偏在指標に基づく医師確保計画の策定と必要な施策の推進
・将来の医療ニーズに応じた地域枠の設定・拡充
・地域ごとに異なる人口構成の変化等に対応した将来の診療科別必要医師数を都道府県ごとに算出 - 総合的な診療能力を有する医師の確保のプライマリ・ケアへの対応
医師の働き方改革の進行スケジュール
一般企業の時間外労働の上限は、年間720時間とされているのに比し、病院勤務医の3割が、960時間から1,860時間の時間外労働者に含まれており、驚くことに、病院勤務医の約1割、2万人の医師が、1,860時間を超えるというデータがあります。
2024年4月からは、「労働基準法施行規則の一部を改正する省令」(2022年1月19日公布)により、上限規制が適応され、一律に1,860時間を超えた時間外労働ができなくなります。
また、後で述べますが、B水準、C水準といわれる特定の基準を満たしていないと、960時間を超えることもできなくなります。
2024年から2036年までの12年間で、各病院が作成した医師労働時間短縮計画に基づき、徐々に時間外労働時間を減らしていき、2036年にはB水準の施設も、960時間が上限となり、960時間を超えて労働できるのはC水準の施設のみとなります。
B水準とC水準
一定の要件を満たした医療機関においては暫定的に年1,860時間までの時間外労働を認め、2036年3月(2035年度末)までに段階的に暫定特例水準を解消していくとされています。地域医療に従事する医師や研修中の医師などは、当面の間は長時間労働が避けられない場合もあるとして、事前に都道府県から指定を受けた医療機関においては、年1,860時間までの時間外労働が認められることになりました。
医師の働き方改革に関する各種検討会の議論を経て、A水準、B水準、C水準の基準が設けられました。
- A水準:年960時間以下
- B水準=地域医療確保暫定特例水準:年1,860時間以下
- C水準=集中的技能向上水準:年1,860時間以下
B水準とC水準の基準は、2021年5月28日公布の「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」にて定められ、医療機関は2023年度末までに都道府県からその指定を受ける必要があります。
医師労働時間短縮計画について医療機関勤務環境評価センターによる第三者評価が必要になります。また、この指定は3年ごとに更新され、都度指定を受けることになります。
対応が必要な病院の割合は?
医師の働き方改革に関する検討会 報告書(平成31年3月28日)によれば、年間の時間外勤務時間が1,860時間を超えると推定される医師がいる病院の割合は27%で、大学病院では、実に88%を占めるといわれています。救命救急を有する病院の84%、救急車受け入れ台数1,000台以上の病院の52%となっております。
献身的な医師の労働時間の長さが、高度な医療、救急医療を支えている一面があると報告されています。
医師の労働時間短縮計画のタイムラインと内容
いつまでに何の計画を作成するか
医師労働時間短縮計画のタイムラインを見ると、2024年4月から1,860時間超えは一切許されなくなり、B水準・C水準の指定がないと960時間超えが許されない状況になります。
B水準・C水準指定を目指す医療機関は令和6年度からの計画案を作成し、医療機関勤務環境評価センターへ書面による評価を受けることになります。書面評価の結果が悪ければ、計画改善の上、訪問評価が実施されるようです。該当する医療機関は多く、評価に要する時間を考えれば、あまり残された時間はないように思えます。
(2023年5月現在)
医師労働時間短縮計画の内容:どのように作成するか
医師労働時間短縮計画の共通記載事項として、労働時間と組織管理の項目があり、労働時間数の目標と実績を設定します。また、労務管理・健康管理では、その月100時間を超える場合の面接・措置など、そのマネジメント方法を策定し明記します。特に宿日直許可基準の順守など、細やかに規定していきます。労働時間短縮に向けた取組では、以下の取組について、最低一つのアクションプランを記載することが求められています。
- タスク・シフト/シェア
- 医師の業務の見直し
- その他の勤務環境改善
- 副業・兼業を行う医師の労働時間の管理
- C-1水準を適用する臨床研修医及び専攻医の研修の効率化
ここで、タスクシフト/シェアの項目が出てきました。医療従事者間の分業体制の適切な整備が重要となります。
厚生労働省の特設サイトで以下の事が述べられています 。
「医師の労働時間は全ての職種の中でもトップであり、労働時間の短縮が急務ですが、そのためには、地域医療提供体制と医師の健康確保を両立させつつ、医師偏在対策等を含めた総合的な対策が必要である」
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