全身ダイナミックPET

Whole-body Dynamic PET

一般的な全身PET検査ではある時点における静止画像が得られます。速度可変型連続移動によるPET撮像技術(FlowMotion)を用いて、全身を複数回往復して画像データを収集する全身ダイナミック撮像では撮像時間を延長することなく、従来の静止画像に加えて、動態画像を得ることができます。

下図の例では、左腹部に局所的な集積が見られリンパ節や尿管への集積が考えられます。
全身ダイナミック撮像を行い、薬剤集積の経時的な変化を把握することで、局所的な集積が尿管の生理的集積と判断でき、診断が容易になります。
 

生理的集積との鑑別

Whole-Body-Dynamic-PET
画像提供:宮崎大学医学部附属病院 使用機種:Biograph Horizon

FDG-PETでは消化管への生理的集積がしばしば見られ、病変と紛らわしい場合があります。本症例では腸管への局所的な集積が見られ、病変か生理的集積かの鑑別のために追加撮像が必要となるケースです。

画像提供:宮崎大学医学部附属病院 使用機種:Biograph Horizon

全身ダイナミック撮像による動画を見ると、集積が大きく移動していることが確認でき、追加撮影を行わなくても腸管への生理的集積とわかることがあります。
 

検査中断による再検査を避ける

全身ダイナミック撮像では、それぞれの全身撮像データを加算処理し、1つの全身画像を作成することが可能です。
一般的にPET撮像は大腿部から頭部まで20分ほど撮像時間がかかり、疼痛がひどい被検者、閉所恐怖症がある被検者、小児の被検者など長時間の静止が困難な場合があります。
従来のPET撮像では20分かけて全身を撮像するため、検査の途中で撮像が中断すると、それ以降の画像は得られず再検査が必要でした。しかしながら、全身ダイナミック撮像では、検査が中断しても得られた各撮像データから全身撮像データを作成し、診断を行うことが可能です。

 

追加撮像や再検査を減らすことで、被検者の負担軽減や検査のスループット向上につながります。

Customer Voice

青梅市立総合病院 田浦先生

放射線診断科 部長 田浦 新一 先生
「Whole-body Dynamic PETで読影することで確信度の高い診断ができるようになりました」

放射線診断治療学講座 教授 玉木 長良 先生
「撮像速度を変えられるというのも大きなメリットです。例えば脳や頭頚部など解像力をあげて撮りたい部位は時間をかけて収集し、後は速い撮像をすることがあります。」

放射線診断治療学講座 助教 西村 元喜 先生
「腸管の集積が経時的に動いたり、尿管の集積が経時的にDynamicに変化していく様子がとらえることができて、これは生理的な集積と病変の鑑別に使えるのではないかと感想を抱きました。」

順天堂大学医学部附属順天堂医院 放射線科 教授 村上康二 先生

放射線科 教授 村上 康二 先生
「腹部の生理的集積と病的集積の鑑別が容易になるなど、ダイナミック画像を見ることで情報が増えることがあります。(中略)安静が保たれないことが予想される場合は全例にWhole-body Dynamic PETを実施するようにしています。10分くらいで結構きれいな撮像ができるので、途中で大きく動いて全くダメになった事例は多くはないです。」

対応製品

Biograph Vision、Biograph mCT、Biograph Horizon

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