近年、カテーテル治療の進歩により、脳卒中治療は大きく変わりました。インターベンションのスペシャリストは、適切な時間内で到着できた多くの重傷脳卒中患者を救うことができます。世界中の血管内治療医は、すべてのカテーテル治療適応患者を治療できるように忙しい日々を送っています。しかし、まだまだ先はあります。
Photos & Video: Bernd Schumacher
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効果的な脳卒中治療は、多くの病院や地域が取り組まなければならない課題です。従来、脳卒中が疑われる患者は、脳卒中ケアユニットのある病院に運ばれ、診断を受け、可能であれば速やかに血栓溶解療法を受けていました。現代のカテーテル治療では、虚血性脳卒中の脳動脈を塞いでいる血栓を、医師がステント型血栓除去デバイスと呼ばれる機器を使用して除去します。脳主幹動脈部の重度脳卒中患者に対する血栓回収術の効果はすばらしく、Christian Loewe, MD(心血管およびインターベンショナル放射線科 部長, ウィーン医科大学 (MUV))はこう語ります。 “重度の脳卒中治療の後、わずか数週間で仕事に復帰できる患者もいます。これは5年前にはありませんでした。私たちは何度も感謝の手紙を受け取っています。ここ数年の間に、これほどまでに医療の提供を大きく変えたイノベーションは他に思いつきません。”
“重度の脳卒中治療の後、わずか数週間で仕事に復帰できる患者もいます。これは5年前にはありませんでした。ここ数年の間に、これほどまでに医療の提供を大きく変えたイノベーションは他に思いつきません”
“ARTIS iconoのような血管撮影装置は、脳卒中患者に必要な脳病態画像情報を、治療するその場で得ることができます。患者の診断と治療を同じシステムで行うことができるのです”
専門医の育成にシミュレータは有用ですか?
脳卒中インターベンションの拡大において、ボトルネックとなるのは、それを実施できる医師の数です。包括的な治療を行うためには、現在手技を実施できる医師の数よりも多くの専門医が必要となります。血栓回収術のトレーニングを拡大する1つの方法は、最新の血管内治療シミュレータを使用することです。“現状、血栓回収術のトレーニングは、未だ実際の手技の中で『やって学ぶ』というのが大半です”とWolf氏は言います。“しかし私は、今後は血管内治療シミュレータを使ったトレーニングになると確信しており、数年後には、全ての血栓回収術の専門医が血管内治療シミュレータを使って練習するようになるでしょう。”
ウィーン医科大学のIVR部門では現在、Mentice社の血管内治療シミュレータの導入を検討しています。これはARTIS iconoのディスプレイとテーブルサイドコントローラに直接接続することができます。“これにより、私たちの若い医師たちは、実際のカテーテルテーブルとモニタを使って練習でき、より実際の治療に近いシミュレーションが可能です。もちろん、常に本物の患者さんを第一に考えています。”とLoewe氏は述べています。
著者について
Philipp Grätzel von Grätz は、医学博士からフリーのメディカルライターに転身しました。ドイツ ベルリンを拠点に、生物医学、医療技術、健康IT、医療政策の内容を中心に執筆活動しています。