- Siemens Healthineers AGが国内子会社である半導体メーカーと15年をかけて研究開発したフォトンカウンティングCTを実用化
- フォトンカウンティングCTはSiemens Healthineersが2021年に世界で初めて*1発売
- エネルギー情報を可視化することで、従来のCTでは困難であった、血流や骨を識別する精度の高い画像診断を実現
- 1秒未満での撮影や、被ばく線量を約100分の1に減少した撮影が可能*1,2
- COVID-19患者の肺炎症状など、高精細な画像で診断可能
シーメンスヘルスケア株式会社(東京都品川区、代表取締役社長: 森 秀顕、以下 シーメンスヘルスケア)は、日本で初めてフォトンカウンティング検出器を搭載した次世代CT「NAEOTOM Alpha(ネオトム アルファ)」が2022年1月26日に製造販売認証されたことをお知らせいたします。
本製品は、Siemens Healthineers AG (ドイツ・エアランゲン)が、子会社である日本の株式会社アクロラド(沖縄県うるま市、代表取締役社長:大野 良一、以下アクロラド)とともに開発した、これまでの技術を一新する次世代のCT装置となります。Siemens Healthineersは、半導体製造プロセスなど世界をリードする技術を有するアクロラドと15年をかけて研究開発に取り組み、この先進的なCTを生み出しました。
技術の中核にあたるフォトンカウンティング検出器は、従来の検出器のようにX線光子を可視光に変換するのではなく、各X線光子とそのエネルギーレベルを直接検出するため、より少ない放射線量で高解像かつ有用なデータを提供することができます。また、被ばくを抑えることができるため、患者さんや検査を受ける方の負担を減らしつつ正確で包括的な検査が可能となります。
その応用範囲は、腫瘍や心臓の診断から肺のフォローアップ検査まで、幅広く多岐にわたります。本製品は、高齢化社会が進み、病気の早期発見や正確な診断が求められる日本の医療現場において重要な役割を果たしていくことが期待されています。
シーメンスヘルスケアは、CTイメージングにブレークスルーをもたらすことが期待される「NAEOTOM Alpha」を通して、ひとりでも多くの検査を受ける方が質の高い医療へアクセスできるよう取り組むとともに、日本のCT装置の活躍の場を拡げてまいります。
開発の歴史
Siemens Healthineersは、15年にわたるフォトンカウンティングCTの研究において、この技術に関連した特許を500件以上出願し、臨床機関のパートナーと密接に連携して、臨床機能と使用例をテストし、検証してきました。これまでに6世代のプロトタイプを評価、改良し、2021年にこの新技術を搭載した世界初のフォトンカウンティングCTを発表し、すでに世界20施設以上で臨床使用を開始しています。「NAEOTOM Alpha」は、市場初のフォトンカウンティングCTであるだけでなく、Dual Source CT(2つのX線管と検出器を搭載したCT)であり、非常にパワフルで高速かつ高精度なCT装置です。
CT装置は長年にわたる技術的進歩によって適用範囲が拡大し、現在の医療において必要不可欠な検査機器となっています。しかしながら、被ばくや造影剤投与による侵襲性を考慮して十分に活用できていないケースや、空間分解能が不足することでCT装置以外の検査機器で代替しなければならない検査も存在しています。フォトンカウンティングCTは、CT装置の基本性能とされる高分解能化と低線量撮影、定量性をさらに飛躍させることに加え、X線フォトンのエネルギー情報を活用した機能情報の提供が常時可能となったことで、今後のプレシジョン・メディシンの拡充に大きく貢献できるイノベーションであると言えます。フォトンカウンティングCTの登場により、今後のCT装置のあり方が再定義される大きな原動力となることを期待しています。
本製品に関する情報は製品紹介ページをご覧ください
*1 自社調べ
*2 A national survey on radiation dose in CT in The Netherlands. 2013 Aug; Insights Imaging (2013) 4:383–390
*3 環境省ホームページより