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MICTコンサルティング株式会社 代表取締役 

2001 年一橋大学大学院MBA コース卒業。同年、日本経営入社。2002 年に医療IT製品の常設総合展示場「メディプラザ」を立上げ、IT導入コンサルティング、システム選定アドバイス、研修事業等を担当。2016 年にMICT コンサルティング株式会社を設立。多くの医療機関の導入サポートや取材経験により医師会などの公的団体などでの講演や執筆多数。

診療所および200床未満の病院が、MRI(Magnetic Resonance Imaging)の購入を検討するためには、診療報酬と導入コストに関する詳細なシミュレーションが必要です。今回は診療所のケースで考えてみます。

【シミュレーションに際しての注意事項】

  • 常勤の放射線診断専門医がいないため、画像診断管理加算の算定はないこととします。
  • 家賃や人件費などは除いています。
  • 実金額ではなく想定額で計算しているため、あくまで参考程度にとどめてください。
  • 診療報酬は1点10円で算出しています。
  • 関連工事費を含む装置本体の費用と保守契約費について、各々は税別で記載していますが、減価償却費の算出とシミュレーションは消費税を含めて行っております。

 MRI購入に伴う費用は、装置本体の費用と関連工事費、動作に要する電気代、そして保守契約費がおもに考えられます。MRIの購入シミュレーションでは工事費を忘れずに加味することが大切です。
 まず装置本体の費用と関連工事費について、通常、これら費用は「減価償却方式」で計算を行い、減価償却費として決算ごとに費用を計上していきます。例えば、ここではMRIを有する診療所で一般的な1.5テスラ未満の機種を、関連工事費を含めて約7,500万円で購入すると仮定しましょう。一般的な耐用年数6年での定額償却で考えた場合、1~5年目の減価償却費は約1,380万円/年、6年目は約1,360万円、7年目以降は0円となります。
 次に電気代については、1日8時間で月20日の稼働がある診療所の場合、単価20円/kWhで計算すると、概ね年間で130万円ほど、チラーもあわせると年間180万円ほどになると想定します。
 最後に、保守契約費は1年目無料、2年目以降は約500万円とします。
 これら3つの費用を合計すると、1年目の年間支出額は約1,560万円、2~6年目は各年で約2,050万円、7年目は約680万円となります。つまり、保守契約費が追加になる2年目に上昇し、減価償却が終わる6年目まで高値が続いた後は大きく下がる、という構図がみられます。

 放射線診断専門医がおらず、画像診断管理加算がない施設を想定した場合、MRI撮影1件当たりの診療報酬点数は、おもに磁気共鳴コンピュータ断層撮影料900点(1.5テスラ未満のMRIの場合)、コンピュータ断層診断料450点、電子画像管理加算120点を合計して1470点となります。
 1日におけるMRI撮影件数と稼働日数で試算した年間の診療報酬収入は、1日平均5件を撮影する場合は約1,760万円、6件の場合は約2,120万円、7件では約2,470万円、8件では約2,820万円、9件では約3,180万円となります。

 以上をもとに、MRI購入後1年目からの収支をシミュレーションすると次のようになります(図、表)。棒グラフが施設の1日における平均検査件数に応じた毎年の収支、折れ線グラフが毎年の収支の累積額を示します。
 シミュレーションによると、撮影件数が1日当たり5件あれば、1年目は黒字を確保できます。しかし、2年目から保守契約費が加算されるために収支が赤字になり、減価償却が終了する7年目にやっと黒字になります。
 撮影件数が1日当たり6件あれば、1年目から黒字になるうえ、継続して利益を計上することができます。したがって、もし検査収益単体で黒字を目指すのであれば、今回のシミュレーション上の結果からは「1日6件」がひとつの目安となります*

図、表:MRI購入後1~7年目における、1日当たり撮影件数に応じた単年度収支(棒グラフ)と累積年度収支(折れ線グラフ)のシミュレーション結果

      提供:MCITコンサルティング株式会社

       MRIは高額なため、減価償却期間中に検査収益だけで黒字化するためには、1日6件以上の撮影件数が必要になることが考えられます。この6件という目標は、診療所にとっては厳しい件数と感じるかもしれません。しかし、視点を検査収益のみではなく、診療所全体の収益に移して考えてみてはいかがでしょうか。
       MRIの導入は、患者数全体への影響も加味して収益を検討、計画することが大切です。高額だからこそ、他院との差別化になり、MRIがあることにより、自院完結で診療できる症例が増え、患者の利便性が増加します。そして、より良い画像をもとに診断・治療を受けた患者は診療所全体を評価する口コミを出し、MRI検査に関係なく患者全体が増えるというサイクルが起きうることが期待できます。
       診療所でMRIの導入を検討する場合は、MRI検査単独の件数だけをみて投資するかどうかを判断するだけではなく、MRI導入が自院への集患全体に影響することを十分に考慮することもお勧めします。

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       もし「診療所の集患に効果があるので新しく導入しよう」と判断されたならば、機種選定も重要になります。現在、診療所向けのMRIも複数の選択肢がある時代となりました。以下、6つのポイントのうち1つでも検討が欠けると、診断に余計な手間を要したり、クリニックの限られたスタッフではうまく運用しきれなかったり、うまく撮影できない症例が多くなったりすることが考えられます。そしてその結果、見込んだほどの集患効果が得られないかもしれません。6つのポイントをぜひ、ご検討の参考にしていただければと思います。


      1. 患者さんや紹介医に自信をもって診断を説明できる「画質」が出せるか
      2. 長時間じっとしにくい患者さんでも対応できる「撮影時間」
      3. 患者さんの「ポジショニング」を短時間で安定的に行えるか
      4. 患者さんに負担が少なく扱いやすい「受信コイル」がそろっているか
      5. 「コンソールの操作性」は経験の少ないスタッフでも再現性高く撮影できるほどか
      6. 体内に「金属インプラント」を留置している患者さんへの対応力が高いか

      (2023年12月25日作成)

      #おかねの話 #医療マーケティング #MAGNETOM Free.Star 

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