シーメンスヘルスケア株式会社(東京都品川区、代表取締役社長: 森 秀顕)は、治療までの時間が予後に大きな影響を与える脳卒中の治療に迅速に対応するため、高度な脳血管内治療を行っている施設を対象に、脳血管内治療にフォーカスした画像診断装置「ARTIS icono D-Spin(アーティス アイコノ ディースピン、以下ARTIS icono)」の販売を2019年11月19日より開始します。
- 進化したコーンビームCTでアーチファクトを抑制した高画質CTライクイメージングを提供
- 2D 撮影と3D撮影をシームレスに切り替え、救急治療のワークフローを大幅に改善
- 低被ばくで最適な画像コントラストを自動的に実現する新機構「OPTIQ」搭載
日本人の主な死亡要因の1つである脳卒中は、患者数110万人以上で年間約11万人が死亡しています *1。
寝たきり(要介護5)になる最大の原因であり、QOL の重要性からも脳卒中の包括的な治療体制の実現が求められ、昨今ガイドライン改訂や脳卒中・循環器病対策基本法 *2 の制定が進められています。
脳卒中治療ガイドライン2015[追補2019]では、血管内に詰まった血栓をカテーテルやステントなどを用いて除去する血栓回収療法の適応が、従来の発症後6~8時間以内から最終健常確認後24時間以内まで広がりました。これによって、起床時に発症に気づいた患者に対しても血栓回収療法を行うことが可能になり、対象患者が大幅に増えると見込まれています。ARTIS icono は、高度で複雑な救急医療の現場で必要とされる新機能の搭載により、今後増加する血栓回収療法に対して、最適なインターベンション治療の環境を提供します。
急性期の血栓回収療法では治療までの時間の長さが予後に大きな影響を与えます。ARTIS icono のCアームは、柔軟かつスピーディーな動きで撮影時間を短縮するとともに、新たなイメージガイダンス機能の搭載により、見たい領域を高い精度ですぐに見ることが可能になります。
ARTIS icono の特長
治療のための診断能を高める新機能
syngo DynaCT Sine Spin
従来の3D回転撮影は、左右方向の一定軌道回転のみだったため、コーンビームCT特有のアーチファクトが生じていました。ARTIS icono は回転撮影中に頭尾方向の傾斜を加えた独自の二重軌道回転機構により、多方向のスキャンデータによる3D画像再構成が可能になりました。骨構造近くの出血などの描出能も向上し、さらなる高画質CTライクイメージングを提供します。
syngo DynaCT Multiphase
脳実質の血液量分布評価のみだったCTライクイメージングによる3D機能画像に、時間軸情報が追加され、血流評価が可能になりました。急性虚血性脳卒中の側副血行動態確認を血管撮影室でも行え、脳梗塞か脳出血かを瞬時に判断できるため、診断から治療への迅速なワークフローを実現します。
Twin Spin
脳血管内治療では、透視の2D画像でカテーテル治療を行い、血流回復やコイリングによる塞栓状態を3D画像で確認します。治療が成立していない場合は、セッティングを戻して透視による治療を続け、その後3D画像で確認を繰り返し行うこともあるため、2D撮影と3D撮影のセッティング切り替え時間の短縮が求められてきました。ARTIS icono はこれまで3D撮影時に退避させていた側面アームを移動することなく、2D撮影と同じセッティングで行えます。また、「syngo DynaCT High Speed」により、従来20秒かかっていた高精細モードの撮影を8秒*3 まで短縮可能にしました。Twin Spinにより、迅速な判断が求められる治療をより的確にサポートします。
常に適正なX線量で治療に必要な高画質を自動的に実現する「OPTIQ」搭載
血管撮影において、患者体厚や血管撮影装置のCアームの角度などにより、必要以上のX線照射や、逆にあきらかな線量不足による画質低下が避けられないことがあります。新機構OPTIQは、求める画質を設定するだけで各設定パラメータを自動的にコントロールし、体厚が薄い場合などは不必要なX線を抑制し、体厚が厚い場合などはX線量を上げることで、高画質を維持します。治療に求められる安定した高画質を常に適正線量で提供可能となり、被ばく低減と治療時間短縮に貢献します。
*1 平成29年(2017)人口動態統計(確定数)の概況、平成29年(2017)患者調査の概況-厚生労働省
*2 正式名:健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法
*3 当社比 2.5倍速