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糖尿病内科 藤本 卓 先生

徳島県南部を診療圏に高度な循環器診療を主体として医療提供してきた碩心館病院は、糖尿病がある人の増加傾向に対応するべく、2004年に糖尿病内科を開設しました。
以来、同科の藤本卓先生は合併症対策を重視した糖尿病診療を基本方針とし、糖尿病性腎症についても早期発見・進行抑制の取り組みを先駆的に行ってきました。血糖管理を軸とした従来型の糖尿病診療の延長ではなく、循環器の観点も含めて患者さんをトータルに診ることを目指してきたという藤本先生に、検査フローや患者さんの治療支援といった診療の実際をお話しいただきました。

 1988年の開業以来、当院は循環器診療を柱として徳島県南部の地域医療に貢献してきました。しかし2000年代以降、糖尿病がある人の人数が全国的に増加傾向を示すようになるとともに、当院の循環器内科で診療を行っている虚血性心疾患などの動脈硬化性疾患患者さんにおいても、糖尿病の合併が発見される頻度が高まってきました。そこで、当院としてもより専門的に糖尿病診療に対応する必要があるということになりました。2004年、それまでは高血圧診療を中心に担当していた私が新たに立ち上げる形で、糖尿病内科(以下、当科)が開設されました。
 当科の受診患者さんは長期に通院継続中の2型糖尿病の方が大半ですが、開設の経緯から、循環器内科と密に院内連携し、糖尿病の早期診断・治療を目指した診療体制を組んでいることが大きな特徴です。循環器内科で動脈硬化性疾患と診断された患者さんはルーチンに血液検査で糖尿病を確認するフローとなっており、その結果約4~5割の方が糖尿病予備群もしくは軽症糖尿病として、当科にコンサルテーションされています。他方、健診でHbA1c≧5.6%となるなどして当科を初診で受診した患者さんに動脈硬化性疾患が疑われ、循環器内科にコンサルテーションするケースも多いです。糖尿病で当科に通院中の患者さんのうち動脈硬化性疾患を合併している割合は、約4~5割に上ります。

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尿中アルブミン定量検査の結果がすぐに得られるDCAバンテージ(シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社製)

 当科では糖尿病治療の方針として、血糖管理の安定化に加えて、一定の割合で合併する糖尿病性腎症を早期発見し、適切な介入によって進行抑制を図ることを重視してきました。
 日本腎臓病学会・日本糖尿病学会の早期診断基準によると、糖尿病性腎症の早期発見は尿蛋白定性検査のみでは不十分であり、尿中アルブミン定量検査で尿アルブミン値30~299mg/gCrの微量アルブミン尿を検出することが必要とされています1)。また、一般に糖尿病性腎症の合併リスクが高いのは、血糖管理が不安定な場合や、糖尿病罹患歴が長期に及ぶ場合とされていますが、糖尿病予備群の段階でも微量アルブミン尿を呈することがあり、そうしたケースでも腎障害が進行するリスクを抱えていると考えられます。加えて、微量アルブミン尿が心血管疾患の独立したリスク因子であることも近年、明らかにされています2,3)
 そうしたことから、糖尿病治療では早期から血糖値と尿アルブミン値の双方を安定的に管理していくことが重要と考えてきました。これを踏まえ、当科を受診する患者さんにはルーチンで血液検査による随時血糖値とHbA1cの測定に加え、尿中アルブミン定量検査を実施することとしています。

 具体的には次のようなフローで尿中アルブミン定量検査を実施し、その結果を糖尿病性腎症への早期介入に活用しています()。まず初診時には、腎疾患スクリーニングを目的として尿一般定性検査を行います。それにより尿蛋白や尿潜血、さらに尿沈渣をチェックした結果、尿蛋白陰性(-)で他の腎臓の異常も特にないことが確認できれば、以降は 3ヵ月に1 回の尿中アルブミン定量検査で尿アルブミン値をチェックしていきます。そして≧30mg/gCrが示された際には、糖尿病性腎症の早期である可能性を疑い、管理を開始する流れとしています。
 一方、尿蛋白±であった場合は、尿中アルブミン定量検査を行い、その結果から判定した CKD 重症度分類に応じて管理を続けていきます。初診時から尿蛋白陽性(1+以上)の場合は、血液検査による腎機能チェックや腎エコーの後、他の医療機関の腎臓内科に紹介し、以降は毎受診時に尿蛋白定量検査でフォローアップとなります。

     尿中アルブミン定量検査については、迅速測定可能な小型検査装置を導入することにより、受診日に即日検査結果が得られる院内検査体制を整備しました。検査後すぐに尿アルブミン値が出るため、患者さんに食事や運動へのアドバイスを含めた治療支援を行う際に、同じく院内で即日検査結果を出している随時血糖値、HbA1cとセットで数値を示すことができます。これにより、患者さんの生活に対して説得力を持ったフィードバックが可能となり、患者さんにとっては治療の動機づけになるメリットがあると感じています。
     実際、患者さんの中には減塩などの食事療法へのアドヒアランスが不良な方がいますが、そのような患者さんこそ、検査の数値に改善が得られていることを強調して説明してあげると意欲がわき、アドヒアランスが向上する印象があります。また、減塩アドバイスにおいては、患者さんの食事内容をもとに栄養士が算出する塩分摂取の推計量を用いることもできるのですが、即日は難しく、次回受診時に結果を示すことになるため、減塩の動機づけにはつながりにくい印象です。やはり患者さんの現在の状態をリアルタイムに説明することが可能な院内検査体制であるからこそ、糖尿病治療に対するプラスの影響が生まれているのだろうと考えています。

    1) 猪股 茂樹, ほか. 糖尿病. 2005; 48: 757-759.
    2) Gerstein HC, et al. JAMA. 2001; 286: 421-426.
    3) Arnlov J, et al. Circulation. 2005; 112: 969-975.

    (2024年2月15日取材)

    #腎症早期発見 #DCAバンテージ

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