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水口 義昭 先生

 東京都文京区にある医療法人社団YAYOIやよい在宅クリニックは、「患者さんに過不足のない医療を提供する」という志のもと、2019年7月に開業しました。がん末期、神経難病、慢性の血液疾患や呼吸器疾患などの患者さんを受け入れ、現在は50人を超えるスタッフ体制で、専門的な治療や処置を行える在宅医療を実践しています。今回の特別編では、本編第3回「在宅医療の現場で血液ガス分析装置を活用し、多様な疾患・病状への最適な対応を目指す」で、自院の特徴としてお話しいただいたハンドヘルド型血液ガス分析装置に焦点をあて、装置を選定された際のポイントと、そのポイントが現在、どのように現場で反映されているのかをまとめてみました。
 在宅医療で血液ガス分析装置を導入するかどうか迷っていらっしゃる先生方、必要とは思うものの何を重視して装置を選定すべきか悩んでいらっしゃる先生方のご参考になれば幸いです。

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“ 急変や難しい病状に直面する在宅医療では、現場に持参でき、pO2やpCO2、ヘモグロビン濃度などの測定結果が現場ですぐに得られることが重要です。” 

 在宅医療の様々なシーンに対応して素早く専門的な治療・処置を行うには、まず患者さんの状態を的確かつ迅速に把握することが必要です。こうしたニーズから、持ち運びができて、酸素分圧(pO2)や二酸化炭素分圧(pCO2)、ヘモグロビン濃度1、ラクテートやクレアチニン比、電解質などの測定結果が現場ですぐに得られることは、血液ガス分析装置選定の第一要件でした。
 実際、導入してからの事例では、レスピレータを装着して在宅酸素療法(以下、HOT)が導入されていた神経難病患者さんの容態が悪化したときに、持ち運んでいた本装置で検査を行ってpCO2高値をすぐに把握し、HOTの酸素量調節を即時に行えたケースがありました。このケースでは、外部に血液ガス検査を委託していた場合、その場ですぐに的確な処置が行えず、心肺停止に至っていた可能性も否定できません。当院では、このように難しい病状の患者さんや急変を呈する患者さんが多いことから、常に持参でき、迅速に信頼できる測定値を出してくれる本装置が大きな有用性を発揮しています。

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左が水口義昭院長(左)。訪問診療の際、ハンディタイプの血液ガス分析装置エポック(シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社製)を青いショルダーバックに入れて持ち運びます。

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“ 1回の測定で数多くの検査項目を把握できると、多様な病状の患者さんに対応できるうえ、想定外のリスクの検知にも役立ちます。”

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やよい在宅クリニックで使用している血液ガス分析装置で出力可能な項目※2

 現場ですぐに測れることに加え、検査項目が網羅的であることも血液ガス分析装置の選定では重視しました。具体的にはまず、当院では多様な疾患・病状の方々を受け入れているため、幅広い検査項目の測定に1台で対応できる必要がありました。例えば、肺疾患の方や酸素投与を受けている方の初診時、あるいは当院で約4割を占めるがん末期の患者さんが呼吸苦を呈した際には、必ず動脈血を採取してpO2やpCO2を確認します。一方、血液疾患の方に輸血を行う際はヘモグロビン関連項目1を、意識障害を呈する方には血糖値と電解質項目のカルシウムを必須でチェックします。
 また、一度の測定で多項目が把握できると、想定外のリスクを検知しやすい利点があります。実際、電解質項目が高値であったことから脱水に気付くことができた事例も経験しており、様々な場面で本装置の測定項目の網羅性に助けられています。

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“ 採算がとれるかどうかの懸念はありました。しかし、目の前にいる患者さんの苦痛を迅速に取り除くことを一番に考えるなら、やはり現場での検査実施は不可欠でした。”

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ハンディタイプの血液ガス分析装置エポック(シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社製)を操作する水口先生(左)。

 現在、現場で活躍しているハンディタイプの血液ガス分析装置ですが、開業当初は購入に見合う患者数を見込めるのかどうかの判断がつかず、血液ガス分析は検査会社に外注していました。しかし、呼吸苦を和らげるためにHOTの酸素量調節を行いたくてもpO2やpCO2の結果報告を待たざるを得ないなど、様々な場面で、必要と考える治療や処置を速やかに開始できない状況にもどかしさが募っていきました。開業して約1年が経った2020年6月ころに、採算が取れる目途がついたからというより、患者さん一人ひとりに過不足ない医療を提供するという当院の志の実践には不可欠という判断から、装置の導入を決めました。
 現在、診療報酬としては基本的に実施の都度、血液ガス分析とクレアチニン等の検査料、および検体採取料を算定しており、審査機関が過剰と判断すれば査定されることもあります。しかし、もし経営的にマイナスになったとしても目の前にいる患者さんが苦しんでいる原因が分かるのなら、使わない理由はないと考えています。

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“ 現在、装置を実際に操作し、準備や点検も担っている看護師からの評価は良好です。むしろ台数をもっと増やしてほしいと言われます(笑)。”

 血液ガス分析装置の準備や点検を行ったり、現場まで持ち運んで実際に操作したりするのは主に看護師ですので、看護師が装置の利便性を感じるかどうかという点も大切です。
 この点では現在、実際に本装置を使用している看護師から良好な評価を得ています。例えば測定に際しては、看護師が本装置に測定カードを入れた後、医師が採取した検体を注入するだけで結果が得られます。また、充電や測定カードの在庫の確認といった日々のチェック、持ち運びなどの取り扱いについても、課題の指摘や改善要望を聞くことは特にありません。むしろ、患者さんが増えるなか、看護師からは台数をもっと増やしてほしいと言われているくらいです(笑)。
 一方、注意点があるとすれば、装置の充電と夏場の保管でしょうか。充電に関しては、装置の主電源だけではなくモニター脇の小さなスイッチも切らなければ電力が消費され、いったん充電量が10%未満になると測定不可となり、再度測定可能になるまで30分以上はかかってしまいます※3 。過去に何度か、この切り忘れで検査を待たなければならない事態に陥ったことがあるため、スタッフ間で周知を心掛けています。
 夏場の保管については、高温下においておくと正確な測定結果が得られなくなると聞いていますので、持ち運び用のショルダーバッグには保冷剤を入れています。それでも特に苦はなく、女性が持ち運べるほどの重さ、大きさです。

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血液ガス分析装置の院内保管場所。コンパクトな装置なので、女性の看護師でも持ち運びやすい。

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(2024年1月26日作成)

#装置選びの視点 #エポック 


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