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MICTコンサルティング株式会社 代表取締役 

2001 年一橋大学大学院MBA コース卒業。同年、日本経営入社。2002 年に医療IT製品の常設総合展示場「メディプラザ」を立上げ、IT導入コンサルティング、システム選定アドバイス、研修事業等を担当。2016 年にMICT コンサルティング株式会社を設立。多くの医療機関の導入サポートや取材経験により医師会などの公的団体などでの講演や執筆多数。

 クリニックの売上は、基本的に患者数×患者単価で計算されます。患者数は新規患者数と既存患者数から成り立っており、クリニックの取り組みは新規患者を集めるための認知活動と、既存患者を再び来院させるためのリピート活動に分けることができます。
 一方、患者単価は保険収益と保険外収益(自費分野)から成り立っており、クリニックの取り組みは、国が定めた診療報酬算定ルールに基づく保険収益の適切な算定と、自費サービスと物販といった保険外収益の適切な提案に分けることができます。

 新規患者を増やすためには、地域社会にクリニックを知ってもらい、患者に受診してみようと思ってもらう必要があります。このクリニックの認知活動には、ホームページやSNS、看板(駅看板、野立て看板)、口コミ、パンフレットの配布などがあります。スマホが普及した現在では、地図から検索する患者が増えているため、特にホームページのなかでも、MEO(Map Engine Optimization)対策が重要になっており、その動線をしっかり構築することが大切になっています。また、地図と一緒に表示される口コミについても、併せて対応していく必要があります。

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提供:MCITコンサルティング株式会社 

 既存患者を再び来院させるためには、患者と良好な関係を維持し、再び来院しようと思ってもらう必要があります。一般的にはロイヤルカスタマー*戦略と呼ばれるもので、地域において競合が激化すると、新規患者の伸びは鈍化しますので、リピート活動がとても重要になります。
 施策としては、ホームページで診療や検査の特性、疾患の解説をしたり、SNSでターゲットを絞って情報を発信したり、患者の待ち状況などをお知らせしたりすることがあります。また、予約システムを活用することで待ち時間を減らし、次回の来院へつなげていくことも可能です。どの施策を用いるかは、患者の不満や不安をよく聞いて判断することが重要であり、継続して患者と良好な関係を築くためにコミュニケーションを図っていく必要があります(ペイシェントエクスペリエンスの向上)。

*ロイヤルカスタマー:自院のサービスに対して忠誠心が高い顧客。クリニックやサービス・商品自体に愛着を抱いてファンとして定着してくれる顧客のこと。

 患者単価のうち、保険収益においては、2年に1度行われる診療報酬改定が大きく影響します。そこで、改定の動向を踏まえながら、適切な算定に努める必要があります。
 また、追加の診療報酬を受け取ることが可能な医療機器やシステムを新たに購入したり、入れ替えたりすることも有効です。新しい機器の写真やその検査画像をホームページや院内掲示板に出して患者にPRし、稼働率を高めることで患者単価は上昇していきます。
 さらに、適切な収益を確保するためには、算定ミスを減らすことも大切です。具体的には、レセプトの返戻・査定対策を行うことや、算定漏れ対策などに取り組む必要があります。それをサポートするデジタルツールとしては、レセプト点検システムがあり、導入することで診療報酬算定の効率化を図ることが可能です。

 保険外収益の患者単価は、自費注射・点滴、サプリ・化粧品の物販や美容(レーザー、脱毛)などに取り組むことで上昇させることが可能です。これらの自費サービスに対しては、ある程度の提案力が必要になります。そして、看護師や受付スタッフの協力のもと、クリニック全体で患者に提案していくことが重要です。保険収益がなかなか増加していかない場合は、自費分野の取り込みを検討することも一策です。

(2023年9月8日作成)

#おかねの話 #医療マーケティング

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