みうら脳神経クリニック 第2回
患者数増加に伴い生じる運営上の諸課題に対処し
満足度の高い診療提供を追求
開業時からMRI装置とCT装置の両方を導入し、迅速な診断ができる検査体制を整えたみうら脳神経クリニックでは、順調に外来患者数が増えるにつれ、長引く待ち時間や検査スタッフの疲弊などの課題も出てきました。そうしたクリニック運営上のさまざまな課題に対し、経営者として実際にどのような工夫を重ねてきたか、院長の三浦正智先生にお話を伺いました。
section
開業当初に受託検査や脳ドックの実施体制を整備
現在は外来患者数増加に伴い
役割を縮小
開業前は、診療の設備や人員を整える以外に特別な集患戦略を練ったわけではありませんでしたが、MRI検査件数を確保する努力として、受託検査を増やそうと考え、近隣のクリニックにあいさつ回りして患者紹介を依頼しました。また、ホームページ上に依頼手順を説明し、検査予約や患者さんへの注意事項説明のために使う書類をダウンロードできるようにしました。その結果、整形外科クリニックから当初は1日に2、3件の検査を受託していましたが、外来患者数の増加に伴って受け入れる余裕が小さくなってきた影響もあり、現在は1日1件程度にとどまっています。他方、CT検査については耳鼻咽喉科クリニックなどから週1件程度、受託しています。頭部以外の部位について受託した検査の画像読影は、遠隔画像診断サービスを利用して行っています。
また、脳神経疾患専門クリニックが集患の目的でしばしば行う脳ドックは、当院でも開業時に導入しました。導入にあたり、頭部の画像検査はしてほしいものの、脳ドックでしばしばセットになっている血液検査などの検査項目は不要という方も多いのではないかと考え、独自の工夫として頭部MRIの撮影から結果説明までを短時間で行うメニューを設けました。また、地域住民を対象として運営されている共済事業の補助を受けられるようにもしました。ただ、受託検査と同様、外来患者数の増加と共にMRI検査件数が増えるにつれて予約件数が減少し、現在は週1件程度です。
患者さん・家族が求めるものを受け止め
思いに応える医療の提供が
満足度につながる
当院では開業以来、迅速な診断によって少しでも早く患者さんの不安を取り除けるよう検査体制を整え、来院患者数の増加に対応した待ち時間対策も行い、一貫して患者さんに満足してもらえる医療の提供を目指してきました。
日々の診療のなかでは、診察室に入ってくる患者さんやその家族が何を求めているのかは1人ひとり異なるので、それをしっかり受け止められるよう頭を働かせながら、慎重に話を聞くように心掛けています。例えば、患者さん本人であれば、今抱えている不安を解決したいのか、病気をしっかり治したいのか、認知症患者さんの家族であれば、望んでいるのは明確な診断がつくことなのか、それとも現状の症状が少しでも落ち着くことなのかなど、思いは人それぞれだと感じます。そうした思いを理解し、それに合わせた方針を提案することが大切だと考えています。
スタッフ採用についても、業務遂行能力が優れていること以上に、患者さんや家族の方に優しく接することができる人であることを重視して選んできました。実際、当院のスタッフによる人として温かみのある接し方が、円滑な診療を実現し、経営を軌道に乗せることにも大きな役割を果たしていると感じています。今後も、患者さんだけでなく家族の方にも受診後、満足して帰ってもらえることを第一として、診療・経営に工夫を凝らしていきたいと思います。
(2024年8月8日取材)
販売名:MAGNETOM センプラ 医療機器認証番号:229AABZX00020000
全身用X線CT診断装置
販売名:ゾマトム go 医療機器認証番号:228AABZX00138000