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田崎 雅敬 先生

医療法人社団たんだ泌尿器科は、収益の柱として43床の透析室を擁して外来透析も提供しているため、看護師の人材確保は常時、課題となってきました。スタッフが高いモチベーションを持って業務に当たり、求職者にとっても魅力的な職場となるべく同院が取り組んできたチーム作りの工夫について、理事長の田崎雅敬先生にお話を伺いました。

 当院は夜間頻尿や膀胱炎、前立腺炎、尿路結石などの一般的な泌尿器科診療に加え、外来透析も診療の柱としています。透析施設は通常、土曜や祝日の勤務もあるため看護師に就職先として敬遠されがちと言われており、当院も看護師確保には苦労してきました。しかし、スタッフに対し、モチベーション向上や一体感あるチーム作りに意識的に取り組んできた結果、現在は透析室、一般外来を問わず非常に風通しの良い雰囲気のなか、スタッフがチームとして働けていると感じます。採用活動の感触からも、当院の職場の良好な雰囲気が口コミで医療従事者の求職者に伝わり、人材確保にプラスに働いている印象があります。
 例えば、当院の透析室のスタッフは、患者さんの透析条件設定や貧血管理について、自分たちで検査データを読み解き、必要な対処や検査について判断することまで担っています。私たち医師のところには、最終的な確認と決定のみ求めに来るという動きが基本となっています。こうしたスタッフの能動的な動きが可能になっている背景には、各スタッフがチームの一員という意識で自分の考えを自由に述べ、議論を交わせるオープンな雰囲気ができあがっている当院の状況があります。実際、スタッフ同士が集まって数分程度、問題点や改善策についての意見交換を行うといった場面が当院では頻繁に見受けられます。また知識向上にも意欲的で、院内では月1回程度の不定期開催でスタッフが自主的に集まり、透析関連の勉強会を行っています。
 透析患者さんのケアに関してもチームによる対応を基本としており、各スタッフが特定の患者さんを受け持つ形にはしていません。患者さん全員の家族背景や受診スケジュールなどのデータを共有フォルダにいれ、院内のどの端末からでも簡単にアクセスできる状態にしたうえで、その患者さんの課題をチームで共有しながらきめ細かいケアを実現しています。こうすることで、1人のスタッフが困難な患者さんの対応で過重な負担を抱えてしまうリスクも避けられると考えています。

 スタッフが能動的に動ける透析室のチームができあがるまでには、当院を2010年に開業し、私が着任した2020年からは顧問を務めている丹田勝敏先生による、粘り強い育成の努力がありました。私が着任してからの約3年間、丹田先生はときにヒントを出したりフォローを入れたりもしながら、スタッフに自分で検査データの意味を考えたり方針を判断したり意見を述べたりする裁量を与え、時間をかけて自主性を育ててきました。そうした育成方針を貫いてきた結果、今では自由で風通しの良い雰囲気の評判を口コミで聞きつけ、他の透析施設から転職してくるスタッフもいます。
 またモチベーション向上の工夫として、多様な役職手当を設け、なんらかの形で貢献度の大きい働きをしてくれる人には積極的に給料アップを図るようにしています。さらに診療効率向上や経営改善につながるアイデアを院内で募集し、良いアイデアを提案してくれたスタッフには感謝状や賞品を出す取り組みもしています。こうした努力や工夫によって、スタッフが充実感を持って働いてくれることこそが、業務効率や医療安全の向上を実現するうえで非常に重要だと考えています。

(2023年8月4日取材)

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