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田崎 雅敬 先生

医療法人社団たんだ泌尿器科が立地する北海道函館市の診療環境が変化するなか、同院の医療提供に対する地域からのニーズはますます高まっています。これまで同院の診療効率向上の鍵を握ってきたという、スタッフの能動的な業務改善の意識と実践について、理事長の田崎雅敬先生にお話を伺いました。

 当院が立地する函館市では近年、泌尿器科を標榜するクリニックの閉鎖が相次ぐ一方、新規開業が無く、その影響で当院の新規患者さんは増加傾向にあります。地域広報誌でのコラム連載を通じて当院の存在を周知するなど、集患の努力も続けて来ましたが、現在は診療効率向上により、新規患者さんの増加にどう対応するかのほうが重要な課題となっています。
 加えて、最近、函館市では市医師会と市行政が連携し、新規透析導入患者数の抑制を目的として、慢性腎臓病(CKD)の早期発見・重症化予防に力を入れ始めています。具体的には、一般内科を含むかかりつけ医で尿検査を積極的に行い、尿蛋白(1+)以上であれば専門医紹介を行うように呼びかけています。そして紹介先の専門医について、市医師会の下部組織である函館腎臓病懇談会がCKDサポートドクターを指定することで、紹介しやすい環境整備を行っています。そうしたなか、外来透析を提供してきた当院としても、保存期の段階からCKD進展予防に取り組むことは当然の役割であろうという考えから、CKDサポートドクターの指定を受け、CKD外来を設けて紹介の受け皿になることにしました。そのため、今後はCKDの新規患者さんの増加も見込まれ、ますます診療効率を向上させる必要に迫られている状況です。

 当院は泌尿器科診療の一般外来に加え、透析室も擁しています。いずれの部門も、看護師を中心としたスタッフがチームとして主体的に動き、一人ひとりの患者さんのケアをおろそかにすることなく、エラーを防いで安全性を担保しながらも効率化を追求しようとする姿勢が定着しています。
 一般外来では、予約が入っている患者さんについて、私があらかじめ入力しておいた検査や採血などの予定の診療の流れがモニター表示されるので、それをリアルタイムで把握したスタッフが先回りして検査準備を済ませてくれます。そのため、エコー検査にせよCT検査にせよ、私は最小限の動きをするだけで実施でき、細かい指示出しをする必要もなくスムーズに診療が進みます。その結果、当院着任前のクリニックで私が診察できていたのは最も多くて1時間に10人程度でしたが、現在は1人当たりの診察時間を短縮することなく1時間に平均15人程度まで診ることが可能になりました。透析室も、以前は検査データの転記や入力の手間が生じていましたが、電子カルテとの連携を取り入れることでプロセスを大幅に省力化できました。
 スタッフには業務改善を図る裁量を与えているため、チームで能動的にアイデアを出してさらなる効率化に取り組んでくれます。それに伴い不必要だった手順が削られ、フローがスリム化することでエラーも生じにくくなり、医療安全の向上にもつながっていると感じます。加えて、より少人数で業務を回せるようになった結果として、スタッフの有休取得率が上昇し、連続した休暇も取得しやすくなりました。こうした待遇改善によって、今後必要になるさらなる人員拡充も進めやすくなると考えています。

(2023年8月4日取材)

#効率化への体制作り

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