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MICTコンサルティング株式会社 代表取締役 

2001 年一橋大学大学院MBA コース卒業。同年、日本経営入社。2002 年に医療IT製品の常設総合展示場「メディプラザ」を立上げ、IT導入コンサルティング、システム選定アドバイス、研修事業等を担当。2016 年にMICT コンサルティング株式会社を設立。多くの医療機関の導入サポートや取材経験により医師会などの公的団体などでの講演や執筆多数。

 クリニックのコストの大半を占める人件費を下げるために、業務効率化の取組が行われます。業務効率化の方法としては、医師に集中する業務を分担するタスクシフトとDX(デジタルトランスフォーメーション)などが挙げられます。DXは「デジタル技術によって、ビジネスや社会、生活の形・スタイルを変えること」*を意味し、その手段としてデジタルツールを導入することになります(図)。
 しかしながら、業務効率化を期待してデジタルツールを導入しても、実際には思ったほど業務時間が減らなかったり、余計な業務が発生してしまったり、人員削減につながらなかったりと、うまくいかないケースがあります。導入の際、システムベンダーの提案は一見素晴らしく、効率化が進むように感じますが、いざ導入してみると「思っていた効果と違う」というケースは、コンサルタントをしていて多々伺うところです。
 こうした場合、問題は得てして事前の導入準備にあります。事前準備が不十分なまま、デジタル化を進めると、かえって現場は混乱してしまい、効率化が進むどころか、負担が増えてしまい、「何のために導入したのか」と頭を抱える事態に陥ってしまいます。単純にデジタルツールを導入するだけでは、業務効率化は成功しません。

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提供:MCITコンサルティング株式会社 

そこで、事前の導入準備のポイントとして、以下の5つの手順を踏むことが重要です。

① 業務の見える化
現状の業務を見える化し、どこに課題があるかを明確にする。

② 業務の標準化と個々のレベルアップ
業務を誰もが行えるように標準化し手順を整理するとともに、個々のレベルアップを図る。

③ 業務分担の見直し
新しい業務フローで行う際に削減される作業や新たに追加される作業について検討し、人員配置および役割を見直す。

④ 新しい業務フローの構築
外注化・デジタル化に合わせて業務を再構築する。その際、しっかりとシミュレーションを行う。

⑤ デジタルツールの導入

 例えば、自動精算機を導入する際、まずは現在の会計の手順を見える化し、誰でも運用できるよう標準化を図ります。患者さんのなかには機械操作を不得手とする方もいらっしゃるかもしれませんので、自動精算機によって会計業務が減少する分、そうした方のケアを業務に加える等して、人員配置を見直します。その後、自動精算機に合わせて業務フローを再構築し、トラブル時はどう対応するか等も含めて、繰り返しシミュレーションを行ったうえで導入・稼働となります。この流れをしっかり踏むことで、導入失敗のリスクを軽減できると考えられます 。
 クリニックのコスト削減に資するシステムについては、受付・会計周辺として自動受付システムやWeb予約システム、自動精算機・セミセルフレジなどが挙げられます。また、診察周辺システムとしてWeb問診システム、音声入力システム、同意書作成システム、自賠責等書類作成システムなどが挙げられます。さらに、検査周辺システムとしては検体ラベルのバーコード出力により患者の取り間違いを防止し、モダリティワークリスト管理連携によって機器へのID・氏名の入力を省略できる仕組み、および画像診断AI等が挙げられます。

(2023年9月8日作成)

#おかねの話 #医療マーケティング

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