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加藤 幹裕 氏
みずほ銀行ビジネスソリューション部医療・特定法人チーム
医療経営士(1 級認定登録番号11310023010004)

医療機関から開業や機器購入の融資相談をされた銀行は、どのような観点から融資を判断するのでしょうか。みずほ銀行ビジネスソリューション部医療・特定法人チームの加藤幹裕氏は、まずその地域でどういった役割を担おうとしているのか、または担っているのかが入り口になるといいます。融資の際の精査ポイントについて、銀行が活用している指標も含めてお話を伺いました。

 医療機関から開業や医療機器購入などのための融資相談をされた場合、弊行の担当者であれば、まず大まかに何のための資金なのかを把握したうえで、「地域でどのような役割を担うのか」、「患者さんが必要とするのかどうか」などをお聞きすると思います。資金使途に応じて事業性を精査するのは、その次の段階となります。
 地域での役割についてまず具体的に申しますと、「この医療機関がこの地域にとって将来も必要か」が一番大きな見方です。例えば、標ぼう診療科が産婦人科や精神科で、この地域にはあまりないとなれば1つの判断材料になりますし、近隣の急性期病院から退院される患者さんの受け皿になることを考えている場合は、地域医療構想*1などと照らし合わせて方向性が間違っていないことを確認します。こうした地域での役割については、複雑な回答や斬新な回答は求めておらず、純粋にこの地域で何ができるかについて検討いただいた結果をお伝えいただければ十分です。
 また、最初の相談時点で事業計画書や財務諸表などの詳細な資料をご準備いただく必要はありません。既にご準備されているものがあれば拝見しますが、ホームページに掲載されている経営理念や方針、理事長や院長のメッセージでも構いませんし、ほかに必要な資料等については、話し合いのキャッチボールをしていくなかで弊行からお伝えし、都度ご用意を依頼させていただきます。

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 地域で担う役割を確認した後は、資金使途に応じて事業性をみていきます。例えば、医療機器を新たに購入するために資金が必要ということであれば、その機器を導入することによって患者さんがどの程度増えるのか等を確認しますし、増改築のために必要ということであれば、その分、患者さんを確保できるのか、地域への貢献が高まるのかといったことを伺います。
 また、増改築を含め、事業を大きくしたり、新たに始めたりする場合において、「患者さんが来るのか」と同じくらいの重要度で私たちが確認するのは、「人材はどのように確保するのか」です。多くの医療機関から人材不足について伺うなか、新たにスタッフを確保できるのかどうかは、どうしても懸念されるところです。そこで、弊行から医療機関に重要な視点として提示するようにし、必要であれば弊行のビジネスマッチングサービスという仕組みのなかで適切なビジネスパートナー(かかりつけ医の経営戦略 みずほ銀行ビジネスソリューション部医療・特定法人チーム 第1回を参照)をご紹介しています。

 医療機関から融資を相談いただいた際の基本的なフローやポイントは上述の通りで、細かく事業計画等を準備するよりも、まずお気軽にお声がけくださいというのが弊行としてのスタンスです。他方、相談事案を精査していく過程で、実際にはどういった項目や資料を弊行が拝見しているのかという点は、気になるところかと思います。あくまで参考としてお伝えしますと、例えば地域における役割という観点では、既に申しあげた通り、厚生労働省主導のもと各都道府県が策定する地域医療構想が1つの判断指標です。一方、特定の医療圏で今後どういった患者さんが増えそうかなどについては、厚生労働省や福祉医療機構などが公表する二次医療圏の分析資料がありますので、それらをおもに用いながら調べていきます。
 また、医療機関の損益状況や財政状態を判断するための指標としては、厚生労働省が公表している病院経営管理指標*2をおもに用いています。1日平均入院患者数や外来患者数、外来/入院比などのほか、医業収益対医業利益率、人件費率などがあり、特に人件費率に関してはクリニックであっても重要な指標となります。また、医業に限らず一般的な損益の指標として減価償却額や自己資本比率などがありますが、そういったものも当然加味しながら財務諸表などは確認させていただきます。

 前回、銀行にも都市銀行や地方銀行など様々な種別があることをお話ししましたが、融資に関するご相談を初めてされるという場合は、まず口座がある銀行に相談することをおすすめします。取引までいかずとも、ご自身の貯蓄や給与を預けている口座がある銀行であれば、初期の融資判断が迅速にでき、スムーズに融資の話に入ることができます。取引も口座も全くない銀行へのご相談となると、確定申告書など様々な資料の提出等からはじめることになってしまいますので、お取引のある銀行、口座のある銀行にお気軽にご相談いただく方が良いと思います。

*1 地域医療構想:二次医療圏を基本とした341構想区域において、2025年における高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つの機能別に入院患者数と必要病床数を推計したうえで各構想区域の関係者が協議し、病床の機能分化と連携推進による効率的な医療提供体制を実現していく取組み。〔2025年に向けた地域医療構想の進め方について:令和6年3月28日付け医政発0328第3号厚生労働省医政局長通知(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001237172.pdf)〕
*2 病院経営管理指標:医療法人が開設する病院、医療法第31条に規定する公的医療機関及び社会保険関係団体病院の開設する病院を対象とし、各会計年度の損益状況、財政状況及び既存の調査・報告を基に毎年集計している。平成15年以前は、病院経営指標(医療法人)、病院経営収支調査年報(公的医療機関及び社会保険関係団体)、主要公的医療機関の状況(日赤,済生会等)と別々に集計されていたが、平成16年から病院経営管理指標としてまとめられている。

(2024年4月9日作成)

#医療マーケティング #おかねの話

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