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荒木 俊光 先生

新町整形外科診療所(三重県津市)は2010年の開業以来、MRI検査を診療の特色の一つとしてきており、2023年1月には高画質化をはじめさまざまな性能向上が図られた新しいMRI装置を導入しました。この設備投資によって目指したものや実現したこと、解決できた課題はなにか、地域住民の身近にあるクリニックとして満足度の高い診療を提供していきたいという院長の荒木俊光先生にお話を伺いました。

 当院では以前から、MRI装置を設置していることを診療の特色の一つとして、地域住民の方や来院患者さんにホームページや院内ポスターでアピールしてきました。他施設よりも早くMRI検査を受けられると口コミなどで知って来院してくれる患者さんも多いので、予約のない方に対する即日検査の希望にも可能なかぎり対応する方針としています。患者さんがMRI検査を希望する理由としては、他施設で通院治療中の関節痛などの症状がなかなか改善しないものの、その施設ではX線検査しかなく原因が調べられないため、MRI検査で精査してほしいといったケースが多い印象です。
 MRI装置は2010年の開業以来、永久磁石方式の0.3Tの低磁場装置が使用されてきました。しかし近年、1.5T MRI装置の普及が進むにつれ、撮像画像の画質が課題であることを実感する機会が増えていました。私は2020年4月に当院に着任していますが、地域中核病院から逆紹介された患者さんの紹介状に添付されているMRI画像を確認すると、1.5T以上の装置で撮られていることがほとんどであるため、当院で撮った画像の画質が見劣りすると感じざるを得ませんでした。また、MRI画像の読影は外部委託していますが、結果のレポートに委託先の放射線科医から、画質の問題で正確な評価が難しいといった趣旨のコメントが記載されていることもありました。北里大学整形外科から非常勤で週1回来てもらっている先生からも、撮影したMRI画像について評価しづらいと指摘されることがありました。

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2023年1月より稼働している0.55T MRI装置MAGNETOM Free.Star(シーメンスヘルスケア株式会社製)

 MRI画像についてそうした課題感を抱いていたところ、別途購入検討していた関節エコー装置について、機器メーカーから説明を受ける機会がありました。その流れで、1.5T MRI装置と遜色ない画質が得られる低磁場のMRI装置が発売予定であることを教えてもらいました。超電導方式ではあるもののコンパクトな装置であり、見積もりの結果、小規模の改修工事で導入できるとのことであったため、購入を決断しました。
 約8週間の工事期間を経て、2023年1月より新しいMRI装置の稼働を開始しており、懸案事項であった画質が撮像部位を問わず、以前の装置よりも向上していることを実感しています。例えば肩関節、足部、手部では細部の軟部組織や骨髄の損傷(図1)、脊椎領域では脊柱管内の神経の状態や椎間孔周辺の状態を鮮明に描出できる印象です。それにより、病変のより詳細な評価が可能になったと感じます。結果として、読影委託先の放射線科医や非常勤の整形外科医の先生からも、MRI画像に対し画質の問題を指摘されることは無くなりました。加えて、受信コイルの感度範囲が広いために広範囲の撮像が可能となったことで、両側の膝関節から足関節までの下腿、胸腰椎などで病変検索が容易になったと思います。
 こうした新しいMRI装置の性能向上により、私もMRI検査所見に基づいてより自信を持って診断できるようになりましたし、患者さんに対しても有用な検査として積極的に推奨しやすくなりました。

 新しいMRI装置では、検査の所要時間も短縮されています。まずコイルが軽量かつ柔軟なブランケット型で扱いやすく、さまざまな部位に容易に巻き付けられるため、撮像開始前のセッティングが簡便に短時間で行えるようになりました。また1シークエンスあたりの撮像時間も短縮し、全体の検査時間では各部位で5~30分短縮しました(表1)。これに伴い、脊椎の変形が強く臥位を長時間維持することが難しい患者さんでも検査を受けやすくなるなど、患者さんの負担が軽減しましたし、撮像を行う放射線技師にとっても、検査1回あたりの手間が軽減し、検査効率は向上したと思います。
 画像診断機器としての性能向上や、当院にとっての運用面の改善にもかかわらず、新しいMRI装置は0.55Tなので、以前の0.3T装置と同じ低磁場装置のカテゴリーとなります。そのため、MRI検査を受ける患者さんの費用負担が増えることはありません。超電導方式に変わったため電気代の増加はあるのですが、新しい装置の導入をホームページや院内ポスターで告知したところ、口コミの効果もあってMRI検査を希望する患者さんが増え、実際に月あたりの平均件数は55件から88件に増加しています(図2)。
 顔の見える地域住民の方々の健康を身近で支えるクリニックとしては、患者さんの経済的負担にも配慮しながら、きちんと納得してもらえる診療の選択肢を示すことが重要だと考えています。そのような診療を実践していくためにも、新しいMRI装置のさらなる活用を探っていきたいと思います。

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(2023年12月4日取材)

#設備投資が診療と経営を変える #MRI


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