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水口 義昭 先生

医療法人社団YAYOI やよい在宅クリニック(東京都文京区)は、在宅患者さんに対する「過不足のない医療」の提供を基本方針として2019年に開業しました。がん末期の方への緩和的処置、血液疾患の方への輸血、在宅酸素療法の酸素投与量の調節といった専門的な治療・処置を行っていることが特徴ですが、そのためには高い専門性をもつ医師が様々な場面で必要となります。スタッフ50人以上の体制を敷いてクリニック経営に臨んでいる院長の水口義昭先生に、目指す医療の実現に向けたスタッフマネジメントの工夫や取り組みについて伺いました。

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日本医科大学付属病院の門前に立地する、やよい在宅クリニックの外観。

 当院は、患者さんがどのような状態でも受け入れ、一人ひとりに質の高い専門的な治療や処置を実行できる在宅医療のクリニックを目指して2019年に開業しました。しかし、そのためには各専門領域の医師を確保することが必要であり、開業当初の常勤医師2人と看護師1人という私たちの体制では、目指す幅広い臨床ニーズへの最適な対応の実践は困難でした。そこで、当院の目前にあり、私が2016年まで勤務していた日本医科大学付属病院と連携し、各診療科から非常勤医師を派遣してもらうよう、徐々に体制を整えてきました。例えば、現在は訪問診療でニーズの多い循環器科や神経内科の領域の非常勤医師は、連日交替で来てもらっています。
 このようにして、立地や連携先医療機関との関係をフルに活用してスタッフ拡充に力を注いできた結果、開業してから4年が経った現在では、常勤医師4人に非常勤医師、看護師などを含めて計50人以上の人員体制となりました。また、迅速な診断を可能とする小型の血液ガス分析装置や超音波診断装置といった機器も充実させており、総合病院と遜色ないレベルの医療を提供できる体制が整いつつあります。
 一方、まだ課題もあります。例えば、現場では皮膚科の診療ニーズもありますが、それに対応できるだけの皮膚科医を充足できていません。遠隔診断の活用も選択肢として考えられますが、私としては総合病院のように各科の医師を確保し、患者さんのニーズに応えたいと思っているため、非常勤医師の派遣を依頼する連携先医療機関を近隣の複数の基幹病院にも拡げていくことで、今後解決していければと考えています。加えて、前述のニーズが大きい診療科である循環器科と神経内科の医師については、やはり診療の柱になる常勤医が不在であることを課題に感じており、今後、人材確保を目指していくつもりです。

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検査結果を看護師と検討している水口先生(左)。

 日本医科大学付属病院との連携により、目指す医療をかなえる人員体制が整いつつありますが、多くのスタッフを抱えることの難しさもやはり経験します。特に、当院は非常勤医師が中心で、その大半は日本医科大学付属病院の専攻医のため、同院のローテーションによって短期間での交替を余儀なくされることがあります。そのため、どのような状態の患者さんでも受け入れ、「過不足のない質の高い在宅医療」を提供するという当院の基本方針を理解し、現場で実践してもらうには、しばしば時間が足りないと感じています。難しい状態で在宅療養生活を送る不安に寄り添い、かける言葉に気を付けることや、ただ聴診器を当ててあげるといった行為にも安心感を生むという価値があることは、在宅医療の現場で時間をかけて学んでいくことです。
 そうしたことを短期間で理解、実践してもらおうとした場合、やはり欠かせないことはコミュニケーションです。非常勤医師との交流の機会を増やして積極的にコミュニケーションを図り、基本方針について理解を深めてもらうことが、より良い診療対応、ひいては患者さんのメリットにつながっていくと考えています。幸い、日本医科大学付属病院には私が在宅医療外来の非常勤医師として出入りしていますし、当院と一つ通りを挟んだだけのところにあるので、非常勤医師と顔を合わせやすくなっています。そうした環境を大いに活かし、私から積極的にコミュニケーションを取るようにしています。
 他方で、派遣元の日本医科大学付属病院との円滑な連携を維持するため、非常勤医師に対しては当院の方針の理解と実践をただ求めるだけではなく、私たちにできる協力やサポートを臨機応変かつ積極的に行うスタンスとしています。

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 コメディカルに関しては、多くの医療機関が人手不足に直面していると思います。当院の看護師に関しては、深刻に不足している状況ではないものの、目指す医療の実現を提供するのに十二分とはいえません。そもそも在宅医療に携わっている看護師自体が少ないようで、看護部長の人脈をたどってアルバイトで入っていただき、そこから当院の基本方針に共感して常勤になってくださる方を見つけたり、LINE公式アカウントで募集を試みたりと看護師確保の努力を続けています。
 また、在宅でのリハビリテーションも強いニーズがありますが、スタッフ確保が難しいところです。ある程度の体制があるところに集まりやすいようで、まだ3人しかいない当院では容易ではありません。引き続き人材会社やSNSも活用しながら、目指す医療の実現に必要な体制整備に尽力していきたいと思います。

(2023年12月11日取材)

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